Mini-ITX

MINIX H55-HD + i3 560   最終更新日 : 2018/05/02

当初、Ubuntu10.10用に考えていた"MINIX 6150SE + AthlonII X4 615e"は、Win7では快調に動作するものの、Ubuntu上ではFull-HD Flashの再生に難があるので、急遽予定を変更し "MINIX H55-HD + i3 560" をUbuntu3号機に仕立てることにした。

MINIX H55-HDは廉価Mini-ITX M/Bであること以外に特徴が見当たらないので、何か目新しいアイテムを付け加えよう。そこで「低性能・高発熱・電力喰い」と2chでは評判の思わしくないNVIDIAの最新ビデオカードGT430を敢えて試すことにした。 (2010.10.14)

GT430 (2010.10.14)

当初の構成は以下の通りである。(G210使用時)
 【M/B】 MINIX H55-HD
 【CPU】 i3 560
 【CPUクーラー】 PROLiMATECH Samuel 17
 【CPUクーラーファン】 ENERMAX Cluster UCCL12
 【メモリ】 SanMax DDR3-1333 4GB×2
 【VGA】 LEADTEK WF GF210 512MB DDR3 LP
 【SSD】 Crucial CTFDDAC064MAG
 【サウンドユニット】 ONKYO SE-U55SX
 【電源】 picoPSU160
 【OS】 Ubuntu 10.10
Ubuntu 10.10 は問題なく動いている。Full-HD Flashも滑らかに再生する。
 アイドル時消費電力 28W、アイドル時GPU温度 36℃(室温26℃)
ローエンドとは言え、ビデオカードを挿して30W以下に収まる例はそう多くない。

次に、G210をZOTAC ZT-40602-10L GT430 1GB DDR3に挿し替えた。結果は、
 アイドル時消費電力 28W アイドル時GPU温度31℃ (室温28℃)

各社から発売されたGT430を見ると、ローエンドカードとしてはヒートシンクが大きく発熱が心配されたが、実際にはそれ程でもない。picoPSUで使えるカードが増えて何よりだ。
では、Ubuntu10.10では他のカードと比較しにくいので Win7Pro64を入れてベンチテストをしよう。手持ちのカードの中からほぼ同一価格のHD5570を選んだ。

GPU
GT430
(ZOTAC ZT-40602-10L)
HD5570
(SAPPHIRE 11167-00-20R)
Win7 Score
7.1 7.1 6.6 6.6 7.7
7.1 7.1 6.7 6.7 7.7
3DMark06
Score:8254
SM2:3463
SM3:3053
CPU:3571
Score:7622
SM2:2699
SM3:3239
CPU:3592
Yume1024×768最高
35808
39922
FF14 high
804
979
アイドル時消費電力
40W
42W
高負荷時消費電力
105W
87W
アイドル時GPU温度
31℃
41℃
高負荷時GPU温度
60℃
65℃
室温
28℃
28℃
ファン
80×15mmに交換
60×20mmに交換

上の表を見ると、全体にHD5570の方が好成績だ。GPU温度の差はヒートシンクのボリュームの差によるものと思われる。 然らば、GT430の負けか・・・

ところが、Ubuntu10.10で比較すると話は変わる。Full-HD Flashを再生すると、GT430は滑らか、HD5570はややカクつく。やはり、UbuntuではATIよりNVIDIAの方が好ましい。

【ZOTAC GT430】
今回もまたファンを交換した
XINRUILIAN RDL8015S 80×15mm
ファンの電源はカード上の2P端子から取った
写真下は外したファン 爆音ではないのだが・・・
まだテスト中 (2010.11.15)

今年4月にリリースされたUbuntu10.04はトラブルが少なく、専用PCを10日ほどで仕上げることができた。ところが、今回のUbuntu10.10は一月経ってもまだテスト中である。導入当初は比較的安定しているように思われたが、Updateを重ねる内にトラブルが頻発するようになった。問題点は二つある。

一つはフリーズである。未だにその原因や条件が掴めず手の打ちようがない。ソフトウェアのインストール中・Web閲覧中・ファイルコピー中・スクリーンセーバー起動中・ ・ ・、時と所を選ばない。メモリ・M/B・ビデオカード等を替えても×。Ubuntu10.10に問題がありそうに思えるが確証はない。

もう一つはネットワークの遅さである。約15GBのTSファイルを、Win7-PCから本機Ubuntu10.10-PCへコピーすると、何と30分もかかる。 Win7-PC相互、及びWin7-PCからUbuntu10.04-PCへは約4分で完了する。これでは使い物にならない。

ということで、まな板より格下の"トレーPC"状態は、まだまだ当分続きそうだ。
もし、原因が自分の勘違いによるものなら、気付きさえすれば一気に解決するのだが・・・

摩訶不思議 (2010.11.20)

どうにも釈然としない。もう一度ファイルの転送速度を測ろう。
そこで、4.2GBのISOファイルを用い、
 MINIX H55-HD + i 560 にUbuntu10.10を入れたPC を【I_U10】
 MINIX H55-HD + i 560 にUbuntu10.04を入れたPCを【I_U04】
 NF93-LF + C2D T9550 にWin7HP32を入れたPCを 【I_W7】
 P5WDG2-WS Pro + C2D E6850 にXP-sp3を入れたPCを 【I_XP】
とし、都合3台4種のPCでテストした。

【表1】
コピーの種別
所要時間
コピーの種別
所要時間
比率
I_XP から I_U04へ
1分41秒
I_XP から I_U10へ
9分55秒
5.91倍
I_W7 から I_U04へ
1分21秒
I_W7 から I_U10へ
5分50秒
4.32倍
I_U04 同一HDD内
1分33秒
I_U10 同一HDD内
2分41秒
1.73倍

上の表を見ると、【I_U10】は単にネットワークの転送速度が遅いだけではなく、ディスクアクセスも遅い。これでは使い物にならない訳だ。もし、他のH/W構成でも同じような結果であるとするなら、Web上に「Ubuntu 10.10 は遅い」との評判が立つ筈だが、そうした書き込みは見当たらない。とすると、自分だけの問題なのだろうか。そこで、MINIX 6150SE-UC3に再度Ubuntu10.10を入れることにした。前回は不本意な結果(HD-Flashの再生が全くダメだった)に終わったが、その後のUpdateにより改善が見られるかも知れない。実は、AMDの低消費電力CPU Athlon II X2 260u を入手したので、そのテストを兼ねることができる。

そこで、
 MINIX 6150SE-UC3 + Athlon II X2 260u + Ubuntu10.10 を【A1_U10】
 MINIX 6150SE-UC3 + Athlon II X2 250e + Ubuntu10.10 を【A2_U10】
 MINIX 6150SE-UC3 + Athlon II X4 615e + Ubuntu10.10 を【A3_U10】
として、上記と同様のテストをした。

【表2】
コピーの種別
所要時間
コピーの種別
所要時間
比率
I_XP から I_U04へ
1分41秒
I_XP から A1_U10へ
2分12秒
1.31倍
I_W7 から I_U04へ
1分21秒
I_W7 から A1_U10へ
2分5秒
1.54倍
I_U04 同一HDD内
1分33秒
A1_U10 同一HDD内
1分52秒
1.20倍

【表3】
コピーの種別
所要時間
コピーの種別
所要時間
比率
I_XP から I_U04へ
1分41秒
I_XP から A2_U10へ
2分7秒
1.28倍
I_W7 から I_U04へ
1分21秒
I_W7 から A2_U10へ
2分0秒
1.48倍
I_U04 同一HDD内
1分33秒
A2_U10 同一HDD内
1分52秒
1.20倍

【表4】
コピーの種別
所要時間
コピーの種別
所要時間
比率
I_XP から I_U04へ
1分41秒
I_XP から A3_U10へ
1分54秒
1.13倍
I_W7 から I_U04へ
1分21秒
I_W7 から A3_U10へ
1分51秒
1.37倍
I_U04 同一HDD内
1分33秒
A3_U10 同一HDD内
1分49秒
1.17倍

 * MINIX H55-HD、MINIX 6150SE-UC3 とも、NICはRealtek RTL8111DLである。

表2~表4の結果を見ると、A1_U10、A2_U10、A3_U10とも、I_U10に較べれば十分真っ当な結果と言えよう。成績がCPUの能力順になったのも頷ける。
 Athlon II X2 260u 2Core 1800MHz L2 1024KB TDP 25W
 Athlon II X2 250e 2Core 3000MHz L2 2048KB TDP 45W
 Athlon II X4 615e 4Core 2500MHz L2 2048KB TDP 45W

ところがである、Ubuntu10.10上でFull-HD Flash動画を再生すると、
 260u・・ほぼ滑らかに再生するが時折カク付く
 250e・・滑らかに再生しカク付きはない
 615e・・紙芝居状態
となり、パフォーマンスは 250e > 260u > 615e の順になった。

以上を総合すると、今回テストしたPCの中では、
 Ubuntu10.10に最適なPC・・MINIX 6150SE-UC3 + Athlon II X2 250e
 Ubuntu10.04に最適なPC・・MINIX H55-HD + i3 560
と言えよう。

Ubuntu10.04では最も成績の良いH55-HD + i3 56が、Ubuntu10.10では最低となり、
Athlon3種の中では最もスペックの高い615eが、Full-HD Flashの再生では最低の成績となった。
なぜそうなるのか皆目見当も付かない。摩訶不思議だ。

尚、今回のテスト中、I_U10は1回フリーズしたが、Athlon3種は無事だった。


では、これまでに試したUbuntu10.10-PCのパフォーマンスをまとめて置こう。

M/B
MINIX H55-HD
MINIX 780G
MINIX 6150SE
CPU
i3 560
Phenom II
X3 705e
Athlon II
X4 615e
Athlon II
X2 250e
Athlon II
X2 260u
動作の安定性
やや不安定
まあまあ
ネットワーク越しのファイル転送速度
激遅
やや不満
Full-HD Flashの再生
良好
紙芝居
良好
まあまあ
Full-HD TSファイルの再生
良好
* 何れもWin7では問題なし

つづく・・・