Mini-ITX

ASRock A75M-ITX + A8-3850  最終更新日 : 2018/04/26

AMD Socket FM1対応のMini-ITX M/Bが漸く発売された。 現時点で入手可能なCPUはTDP100WのA8-3850とA6-3650の2種のみ。 Mini-ITXにはTDP65Wタイプの発売を待ちたい処ではあるが、前作が完成し丁度手隙のこの時期を無為に過ごしたくない、と言い訳をしつつ ASRock A75M-ITXとA8-3850 を入手した。(2011.8.15)

A8-3850 (2011.8.15)

新型のCPUを試す時、先ず始めに為すべきことはCPUクーラー選びである。
当初の部品構成は、
 【M/B】 ASRock A75M-ITX
 【CPU】 AMD A8-3850
 【MEM】 DDR3-1333 4GBx2
 【SSD】 C300 128GB
 【PSU】 picoPSU160
 【Case】 お盆
 【OS】 Win7Pro64

CPU付属のクーラーを取り付け、早速Win7Pro64を入れた。特に問題なくSP1まで到達した。しかしながらリテールクーラーは煩い。我家の許容値を遙かに越えた。そこで、
 ① Dynatron A46G + PWM仕様の120x25mmファン
 ② XIGMATEK Apache EP-CD903
 ③ PROLIMA TECH Samuel 17 + PWM仕様の120x25mmファン
の三通りで試した。

①②ともA8-3850には冷却不足のようだ。 ファンの回転数を上げれば温度は下がるが、それでは煩くて遣り切れない。

そうなると定番クーラーSamuel 17で決りか。
ところが、数種のPWM仕様の120x25mmファンを取り付けて試したところ、どれも思わしくない。PWM制御が馴染まず回転数が程良く変化しないのだ。つまり、アイドル時と負荷時の回転数変化量が少なく、最小回転数を1000rpm以上に設定せざるを得なかった。初期BIOSにはよくあることだが、当面どうするか。このM/BにはCPUファン用ソケットが4Pと3Pの二種類ある。ならば、3Pタイプのファンで試してみよう。

そこで、Samuel 17にNoctua NF-P14 FLX 140x25mmファンを取り付け、アイドル時の回転数が700rpm程度になるようBIOSのファンコン及び挿入抵抗で調節した。結果は良好。ノイズ、冷却能力とも○。それだけではない。負荷が高まりCPU温度が上がるにつれ、ファン回転数も滑らかに変化しPrime95ベンチ時には1000rpmまで上昇した。 どうしたことか、PWM仕様のファンより回転数固定ファンの方が変化量が大きいのだ。こうしたことは初めての経験だ。

毎度お馴染みのお盆PC。
140mmファンではM/Bから少々はみ出る。
ヒートスプレッダ付のメモリはギリギリ。
出来ればロープロ仕様のメモリにしたい。
A75M-ITX付属ソフトによるモニター(室温29.5℃)

アイドル時
 CPU温度 : 34℃
 M/B温度 : 32℃
 CPUファン回転数 : 720rpm
A8-3850はpicoPSU160で間に合うか (2011.8.15)

A75M-ITXはOC機能満載である。Mini-ITXでこれほど豊富な機能を備えたM/Bは DFI P55-T36以来か。日頃から滅多にOCしないが、少しは遊んでみたくなる充実振りだ。
幸い手元に DDR3 1866仕様のメモリがある。先ずDRAM Frequencyを弄ってみよう。
結果は下表の通り、

CPU
A8-3850 (TDP 100W)
Memory
Kingstone KHX1866C11D3P1K2/8G DDR3-1866 CL11 4GBx2
DDR3 1333
8-8-8-23 CR1
DDR3 1600
10-10-10-28 CR2
DDR3 1866
11-11-11-32 CR2
GPU
HD6550D (CPU内蔵)
GPU Memory Clock
666MHz
800MHz
933MHz
Windows Experience Index
7.3 7.3 6.6 6.6 7.9
7.3 7.5 6.6 6.7 7.9
7.3 7.5 6.7 6.7 7.9
3DMark06
Score:6281
SM2:2144
SM3:2573
CPU:3988
Score:6975
SM2:2411
SM3:2880
CPU:4045
Score:7176
SM2:2490
SM3:2980
CPU:4065
3DMark Vantage
Score:3457
GPU:2852
CPU:9488
Score:3970
GPU:3317
CPU:9697
Score:4162
GPU:3499
CPU:9631
Superπ104万桁
26秒
25秒
24秒
Yume1024×768最高
28466
31239
32463
Windows Experience Index
実行時ピーク消費電力
113W
114W
115W
3DMark06
実行時ピーク消費電力
105W
106W
107W
Prime95
実行時ピーク消費電力
125W
126W
127W
アイドル時消費電力
23W
23W
23W

内蔵GPUで3DMark06 Score 7000超えは素晴らしい。  SandyBridge HD3000は5000台だった。 3DMark06実行時ピーク消費電力105W程度ならpicoPSU160でも間に合いそうに思えるが、Prime95実行時ピーク消費電力125W超は少々気になる。

日頃から、電源容量の目安を
 「ワットチェッカーによる高負荷時消費電力値 < 電源容量の1/√2 」
としている。 picoPSU160の最大出力160Wに1/√2を乗ずると 113Wとなる。

現在の部品構成は最小であり、HDDや拡張カードを追加する予定である。
そうなるとA8-3850にpicoPSU160では心細い。 

 ① A8-3800の発売を待つ
 ② 250WタイプのACアダプタ電源に替える
 ③ 300Wの80+ Gold電源にする

何れにするか、それが問題だ。

5種のACアダプタ (2011.8.20)

前節の課題の内 ② を試してみよう。用意したAC-DCアダプタは以下の5種である。

AC-DC
Adaptor
入手先
製造会社/型番
電圧/電流
容量
#1
ケース付属品
FSP FSP150-AHAN1
12V/12.5A
150W
#2
short-circuit
EDAC EA118003A-120
12V/12.5A
150W
#3
short-circuit
ST-C-150-1200_1250CT
12V/12.5A
150W
#4
short-circuit
ADAPTER TECH. STD-12160
12V/16A
192W
#5
kaitodenshi
Kaito6797
12V/20A
240W

DC-DCコンバーターは、定格160WのpicoPSU160-XT、定格250WのM4-ATXである。

測定方法は、
 ・起動20分後のアイドル時消費電力を測る。
 ・Prime95を20分間走らせた時のピーク消費電力を測る。(時々見落としがある)
 ・スリープ時の消費電力を測る。
 ・電源を落した時の待機時消費電力を測る。
結果は下表の通りである。

DC-DC
Convertor
picoPSU160-XT (160W)
M4-ATX (250W)
AC-DC
Adaptor
消費電力
消費電力
Prime95
ピーク時
アイドル時
スリープ時
待機時
Prime95
ピーク時
アイドル時
スリープ時
待機時
#1 (150W)
113W
23W
4W
3W
115W
24W
5W
3W
#2 (150W)
117W
24W
4W
3W
119W
24W
4W
2W
#3 (150W)
129W
23W
2W
1W
132W
24W
2W
1W
#4 (192W)
111W
23~33W
1~5W
1~3W
113W
23~33W
1~6W
1~4W
#5 (240W)
124W
28W
6W
5W
124W
28W
6W
5W
 表中、ピンク地表示は最も成績の良い値、濃いグレー地表示は最も成績の劣る値


#1
比較的良好な結果ではあるが、発熱量は他のアダプタに較べて大きめ。
#2
これも無難な結果が得られた。可もなく不可もなくか。
#3
アイドル時やスリープ時の成績は最も優れているのに高負荷時は最悪。
前節のデータはこのアダプタを使って計測した。
#4
高負荷時の結果は最良だが、アイドル時の消費電力が安定せず、ワットチェッカーの表示はフラフラ。目下原因追求中。
#5
最も容量の大きいアダプタである。総じて得られたデータは芳しくない。それだけではなく負荷変動時に鳴きが入る。酷い音ではないので机の下に置けば気にならない程度。ホットボンドで解決出来るかどうか思案中。

5種のACアダプタは何れも一長一短があり決めかねている。
また、効率の良いACアダプタを使えば、M4-ATXではなくpicoPSU160-XTでも行けそうだ。

ADAPTER TECH. STD-12160 (2011.8.21)

192W ACアダプタ ADAPTER TECH. STD-12160の低負荷時消費電力が不安定な件、
使われているコンデンサに問題があるものと見当をつけた。大容量のコンデンサは、屡々充放電特性にバラツキがあり、同じような経験はATX電源でもあった。 そうした時は暫く
アイドリングを続ければ直ることもあるので一晩連続運転させた。 残念ながら変化なし。外れ品を引いたのかも知れない。

そこで同一品を別の店から入手した。 結果は良好、問題は解決した。測定データは以下の通りである。

AC-DC
Adaptor
入手先
製造会社/型番
電圧/電流
容量
#4a
short-circuit
ADAPTER TECH. STD-12160
12V/16A
192W
#4b
oliospec
ADAPTER TECH. STD-12160
12V/16A
192W

DC-DC
Convertor
picoPSU160-XT (160W)
M4-ATX (250W)
AC-DC
Adaptor
消費電力
消費電力
Prime95
ピーク時
アイドル時
スリープ時
待機時
Prime95
ピーク時
アイドル時
スリープ時
待機時
#4a
111W
23~33W
1~5W
1~3W
113W
23~33W
1~6W
1~4W
#4b
110W
23W
3W
2W
111W
24W
3W
2W
 表中、ピンク地表示は前節の表を含めて最も成績の良い値


それにしても各社のACアダプタは特性がバラバラだ。最良と最悪とでは20%程度の開きがある。ACアダプタもATX電源のように 80+ Standard・Bronze・Silver・Gold・Platinum の品質表示が欲しい。

さて、240W ACアダプタがヒュルヒュル鳴く件、ホットボンドでインダクタンスコイルをガジガジに固めた。結果は不調。鳴き止まず。その昔、ラジオの電源トランスを自作した経験を活かし、一旦コイルを外してパラフィン漬けにすれば改善するかも知れないのだが、作業中の悪臭を思い出すと二の足を踏む。

と言うことで、ACアダプタはOLIOSPECから購入した「ADAPTER TECH. STD-12160」に決まった。では、DC-DCコンバータはどうするか。picoPSU160-XTで間に合わせるか、M4-ATXの安心感を取るか、何れにするかはケース次第になりそうだ。

ケースづくりは先送りか (2011.8.24)

お盆PCは便利だ。部品の交換や増設は至って簡単。見て呉れさえ気にしなければその儘でも不都合はない。滑り止めマットのお蔭で部品のぐらつきはない。その上、CPUファンの風が涼しくて良い。敢えて欠点を上げれば重ね置きが出来ずスペースファクタが劣る点か。

お盆PCをズラ~と並べられる適当な棚をつくれば良いのだが、机周りにそうした余裕はない。然るべきケースに収めるのが順当であろう。手持ちの空ケースを使う手もあるが、前作の1.325Lケースと較べてその巨大さに唖然とする許りだ。

前作のケースは1.325L
Lian Li PC-Q08は17.778L
13.4倍の差は埋め難い
しかも中身の能力は上物の方が勝る

ASRock A75M-ITX + A8-3850 + SSDx1 + HDDx1 + SoundCard とすると、前に述べた通り、picoPSU160-XTでは容量ギリギリ、かと言ってM4-ATXではケースが大きくなる。

仮にM4-ATXを前提にケースの大きさを計算すると、
 W210xH130xD240=6.55L 程度となり、自作1号機とほぼ同じ大きさになる。
picoPSU160-XTなら
 W185xH110xD210=4.27L 程度に収まる。

結論はA8-3800の発売まで先送りにしよう・・・


ケースの大きさを比較するためにLian Li PC-Q08を選んだのは偶々ではない。
然るべき理由があるからだ。その詳細については、後日「Zotac G41ITX-A-E + Pentium DC E6600」頁で述べることになろう。

Auzen X-Fi Forte 7.1 (2011.8.30)

A75M-ITXの新BIOS1.20が発表された。早速Updateしたが相変わらずファンコンのPWM制御は思わしくない。Mini-ITXスレの「Profileを弄るとM/Bがお釈迦になる」との件については怖くて試せない。

さて、A75M-ITX唯一の拡張スロットに何を挿すか。A8-3850内蔵のGPUは優秀なのでSound・LAN・TVから選ぶことになる。先ず、Sound Cardから試してみよう。そうは言ってもPCIe仕様のカードはどれも使用中で予備はない。coneco.comで探していたら、Auzen X-Fi Forte 7.1(以下Forte7.1)が値下がりしていた。 発売当初から凡そ23%下落。ロープロ仕様で好都合だ。

早速取り付けてSW-ON。アイドル時消費電力は7W増して30W。少し高いが許容範囲か。ドライバを入れて試し聴きをした。アナログ出力もデジタル出力も悪くない。低音域も高音域も良好、これで決りか。

ところがである。Full-HD TSファイルを再生したら消費電力は一気に上昇した。それも半端ではない、OnboardのRealtek ALC892に較べて20W増しの73Wである。Auzentech最上位のAuzen X-Fi HomeTheater HD(以下HT-HD)と変わりないではないか。この時、
 ・192WのACアダプタ外部表面最高温度は42.5℃、
 ・picoPSU160-XTの温度は40.5℃(室温28℃)

そこで、確認の為に他のPCからHT-HDを引き剥がしForte7.1と差し替えた。結果は予想通り。 消費電力に関する限りHT-HDもForte7.1も同じだった。 違いは音質、値段の差が確り表れた。

Sound Cardだけでアイドル時7W増し、負荷時20W増しは厳しい。 Auzentechのカードを載せるならpicoPSU160-XTではなく250WのM4-ATXを選ぶことになろう。そうなると前に述べた通りケースが大きくなり、Mini-ITXの旨味が損なわれる。損なわれ序でなら、M/BをMicro-ATXに替えてLAN CardもTV-Tunerも載せたくなる。ケースを自作すれば12L程度に収まり、少し大振りのMini-ITXケース並みとなる。

写真上、Auzen X-Fi Forte 7.1
写真下、Auzen X-Fi HomeTheater HD

Web情報に依ればTDP65WのA8-3800は発売延期とのこと。 さて、どうするか・・・
A6-3500をテストする I (2011.9.10)

A8-3800が先送りになり、代わりにA6-3500が発売された。3Coreは残念だがTDP65Wは好ましい。ACアダプタ電源で安心して使えるかどうか、関心はその一点にある。A8-3850はMini-ITXでもMicro-ATXでもACアダプタ電源では苦しかった。

ASRock A75M-ITXの場合、BIOSを弄ったりk10statの導入により消費電力は減らせるが、そうするとパフォーマンスの点で不満が残り、中々最適値が見付からなかった。
ECS A75F-M2は、抑もBIOSから電圧や倍率の変更ができない。

そこでA6-3500を試すことにした。部品構成は以下の通りである。
 【M/B】 ASRock A75M-ITX
 【CPU】 AMD A6-3500
 【MEM】 DDR3-1866 4GBx2
 【SSD】 C400 64GB
 【PSU】 picoPSU160-XT + 192W AC Adapter
 【Case】 Obon
 【OS】 Win7HP

CPU
A6-3500 (TDP 65W)
A8-3850 (TDP 100W)
PSU
picoPSU160-XT + 192W AC-Adapter
Memory
Kingstone KHX1866C11D3P1K2/8G DDR3-1866 CL11 4GBx2
DDR3 1866 11-11-11-32 CR2
GPU
HD6530D (CPU内蔵)
HD6550D (CPU内蔵)
GPU Memory Clock
933MHz
Windows Experience Index
6.3 7.5 6.6 6.6 7.9
7.3 7.5 6.7 6.7 7.9
3DMark06
Score:5564
SM2 :2013
SM3 :2354
CPU :2499
Score:7176
SM2 :2490
SM3 :2980
CPU :4065
3DMark Vantage
Score:2969
GPU :2580
CPU :5410
Score:4162
GPU :3499
CPU :9631
FF14
High: 696
Low:1325
-
Superπ104万桁
30秒
24秒
Yume1024×768最高
29485
32463
Windows Experience Index
実行時ピーク消費電力
69W
-
3DMark06
実行時ピーク消費電力
62W
-
Prime95
実行時ピーク消費電力
72W
110W
アイドル時消費電力
22W
23W
前回計測時とはACアダプタが異なるため、一部のデータは割愛した。

・A6-3500とA8-3850の結果を比較すると、項目によって1~4割落ちている。七掛けくらい
 を予想していたのでまあまあか。
・A6-3500ならpicoPSU160-XTで十分間に合うことが判った。
・CPUクーラーはSamuel 17+Noctua NF-P14 FLX(=高さ70mm)を使用したが、
 もう少し薄いクーラーに替えられそうだ。

DCする (2011.9.12)

別ページのECS A75F-M2は A6-3500+picoPSU160で行くことにした。パフォーマンスの点で不満はあるが、ケースを小型化するためには止むを得ない。

では ASRock A75M-ITXはどうするか。ECS A75F-M2と違って各部の電圧や倍率を変更できる。このPCもまたpico化したい。その場合、A8-3850を規定値のママではHDDや拡張カードを追加した時の消費電力に不安が残る。かといってDCするのは不本意だが、AMD-Aシリーズは現時点では3種類しかなく、他に良い方法は見当たらない。

A75M-ITXはVcore Voltageを下げる場合、CPU Frequency MultiplierをAutoではなく
適当な倍率に設定する必要がある。そこで先ず始めに
 【Vcore Voltage】 1.250V
 【CPU Frequency Multiplier】 x24
 【DRAM Frequency】Auto
 【DRAM Voltage】Auto
で試した。
 【Prime95実行時ピーク消費電力】 110W→85W
は好都合だが、
 【Windows Experience Index CPU値】 7.3→6.3 (その後6.3なる値は再現できず)
 【Superπ104万桁】 25→31秒
に激減した。

次に、Vcore電圧や倍率を幾通りかの組み合わせで試した。
 【Vcore Voltage】 1.200V
 【CPU Frequency Multiplier】 x25
 【DRAM Frequency】DDR3-1600
 【DRAM Voltage】1.500V
の時、
 【Prime95実行時ピーク消費電力】 90W
 【OCCT power supply実行時ピーク消費電力】 119W
 【Windows Experience Index】 7.3 7.5 6.7 6.7 7.9
 【3DMark06】 Score:6891、SM2:2425、SM3:2883、CPU:3531
 【Superπ104万桁】 29秒
 【アイドル時CPU温度】 32℃(室温28.9℃)
 【Prime95実行時CPU温度】 49℃。
 【120x25mmCPUファン回転数】 約850rpm(PWMではなく回転数固定)

CPU Frequency Multiplierを固定した場合、アイドル時~低負荷時消費電力の増加が懸念されたので、CnQのON/OFFテストをした。
CnQ:ONの時
 【CPU Speed】 約2500MHz一定
 【Vcore Voltage】 1.000V~1.213Vまで変化
 【アイドル時消費電力】 22W
CnQ:OFFの時
 【CPU Speed】 約2500MHz一定
 【Vcore Voltage】 約1.200V一定
 【アイドル時消費電力】 22W

今回テストした限りでは、各部電圧・倍率・CnQの如何に関わらず、アイドル時消費電力はほぼ一定だった。ところが、C6StateをOFFにした場合、アイドル時消費電力は11W増しの33Wになった。

また、OCCT POWER SUPPLY実行時ピーク消費電力が119Wに達した。通常そうした使い方をする場面は想定できないのだが、暫く様子をみてから電圧や倍率を再検討しよう。

Athlon II X4 631(2011.10.23)

現在、別ページの「MINIX 6150SE-UC3 + Athlon II X2 260u」にUbuntu 11.10を入れて遊んでいる。ところがCPUの能力に少々不満あり。Athlon II X2 250eに替えるか、或いは別のPCで試すか。

思案の末、数あるお盆PCの中から本機を選んだ。Ubuntu 11.10にはA8-3850内蔵GPU HD6550Dに対応するドライバも含まれ問題なくインストールできた。 しかしながら、発色・コントラスト・精細感とも今一つ。それだけではない。動画再生時のもたつきが気になる。

そこでGT430を挿した。Win上ではGT430よりHD6550Dの方が画質の評価は高いのにUbuntu上では逆転する。毎度のことは言え、ATIのUbuntuドライバには失望させられる。

 【CPU】 A8-3850
 【MEM】 DDR3-1600 4GBx2
 【M/B】 ASRock A75M-ITX
 【SSD】 C400 64GB
 【VGA】 ZOTAC GT430 (ZT-40602-10L)
 【PSU】 picoPSU160XT + 150W AC Adapter
の時、
 ・アイドル時消費電力: 31W
 ・Adobe Flash 1080Pコンテンツ再生時ピーク消費電力: 86W

A8-3850内蔵のGPU HD6550DはWin7では素晴らしい成績を上げる。画質も良好であり、うっかりすると高価なビデオカードに優る面もある。現在A8-3850は品薄状態にあり、欲しくとも入手できない人もいるとか。そのGPUを殺すなど許されざる行為と言えよう。ではどうするか。A8-3850と同タイプのFM1シリーズからGPUのないAthlon II X4 631を選んだ。
結果は、
 ・アイドル時消費電力:31W
 ・Adobe Flash 1080Pコンテンツ再生時ピーク消費電力: 80W
 ・CPUの能力に不満はない。4Core 2.6GHzで十分であろう。

Ubuntu用のベンチマークソフトは入れていなので、Adobe Flash 1080Pコンテンツで間に合わせた。自分の使い方ではこれ以上負荷が増すことはない。80W程度の消費電力なら120WクラスのACアダプタでも不安はない。また、オーディオドライバが改良されたのか、A75M-ITX内蔵のサウンドチップALC892でも底々聴けるようになった。今のところ蟹NICも健やかである。本機をubuntu 4号機とし、3号機をお蔵入りにする可能性大・・・

LP仕様のビデオカードなら小型ケースに収まる。

picoPSUはテスト用に延長ケーブルを使った。
メモリと接近するが直差し可。

 (ビデオカードについては「GT430」の節を参照)
DAC-1000を繋ぐ (2011.10.24)

前節で述べた通り、A75M-ITX内蔵のサウンドチップALC892は小型2CH-SPで聴く限り、音の歪みは少なくS/N比も悪くない。しかしながら5.1chシステムでは周波数レンジ・ダイナミックレンジとも不満になる。これはWin7の場合も同じであり致し方ない。拡張スロットに空があれば適当なサウンドカードを挿せるが、既に先客のGT430で塞がっている。そこで、USB仕様のDAC-1000を繋いだ。ドライバーは自動的にインストールされ、再起動せずとも直ぐに使えるようになった。

テストソースは何れもBS Premiumから収録したTSファイル
 ① ベルリン・フィル「ワルトビューネ・コンサート2011」 (2011/9/17放送)から
   「ローマの泉・ローマの松」 指揮:リッカルド・シャイー
 ② ウィーン・フィル「シェーンブルン夏の夜のコンサート2011」 (2011/10/15放送)から
   「展覧会の絵」 指揮:ワレリー・ゲルギエフ

クラシックのコンサート番組は動画のテストに持って来いである。
 ・指揮棒や弦楽器の弓の動きから動画再生能力が判る。
  能力不足の場合は軌跡が目立つ。
 ・管楽器やハープの映像から解像能力が判る。
 ・ヴァイオリンやチェロの映像から発色とコントラストの適不適が判る。
 ・重低音から高音域まで周波数レンジの確認に都合がよい。
 ・最弱音から最強音までS/N比とダイナミックレンジのテストができる。

音に関する評価は、
 ・DAC-1000をubuntuのドライバで動作させせた時、音量レベルの規定値はWin7に較べ
  て低めである。
 ・Win7に較べて周波数レンジはやや狭くなる。特に高音域の伸びは物足りない。
 ・ダイナミックレンジもやや狭くなる。
 ・全体に小作りな音になるため、迫力は劣るが寧ろ聴き易くなる。
 ・汎用ドライバのため、DAC-1000の能力が十分に発揮できないのかも知れない。

演奏に関しては、
①は野外音楽堂での公演なので、一部ベルリン・フィルらしからぬ場面もあるが、大観衆を前にした快演と言えよう。 ②は演奏よりも会場となった 「シェーンブルン宮殿」の美しさに見とれてしまった。 ハプスブルク王朝の歴代君主が主に離宮として使用したと言われ、先年世界遺産に登録された絢爛豪華な宮殿と庭園には圧倒される許りで、じっくり演奏を聴くまでに至らなかった。その理由はもう一つある。「展覧会の絵」にウイーン国立歌劇場バレー団のバレーシーンが加わり、その演出がまた色っぽく、終始音よりバレリーナにドキドキさせられたのである。

以上、Full-HD再生時のデータは、(室温27.0℃)
 【CPU使用率】 23~38% 平均30%
 【消費電力】 48~58W 平均52W
 【GPU温度】 34~35℃
尚、ubuntuのユーティリティーソフトから正確なCPU温度は測れなかった。

ベルリン・フィル
ワルトビューネ・コンサート2011の会場 
ウィーン・フィル
シェーンブルン夏の夜のコンサート2011の会場
「シェーンブルン宮殿」 (この日は入場無料だったとか)
 
「展覧会の絵」終曲「キエフの大門」のコーダ
後の建物は「グロリエッテ」
Maria Theresiaの銘が刻まれている。
つづく・・・