PCG3 Aluminium_Craft
PCケースの自作や改造を検討している人のための糸鋸盤ガイド  (2008.9.29)
オーディアンプ (1973年製作)
その昔、オーディアンプを自作していた頃、今日のように便利な電動道具はなく、金切り鋏・ヤスリ・タガネ・シャーシーパンチ等を使っていた。ドリルも手回し式。キッチリ図面を起こしてもなかなか思い通りに行かず、専らヤスリ仕上げに頼っていた。

左の管球式アンプは1973年に製作した。今でも完動品(のはず)。穴なしシャーシーを手工具で加工した。回路設計も自前。パネルはアルミヘアライン仕上げにクリアラッカー焼き付け塗装。 シャーシー本体はアイボリー焼き付け塗装。レタリング入り。記憶によれば、3日間で50時間ほどかけて一気に製作した。
(出力管はTelefunken製EL34×4 UL接続45W×2)

アルミ工作

昨今、アルミ材を加工する工具は豊富に出回っているが、現在我家にある工具類はすべて木工用。昔使った上記の金工用手工具類はサビサビ。せめて折り曲げ機と切断機は欲しい。早速入手したところ、折り曲げ機は期待通りだったが、切断機は小型すぎた。150mm四方程度の素材を扱うのが精一杯。平行ガイドやT型ガイドを使わなければもう少し大きな素材も扱えるが、同じフリーハンドなら糸鋸盤の方がより高い精度が得られる。ジグソーや丸鋸を使う方法も考えられるが、切断面の精度は期待できない。 金切り鋏は手軽に使えて便利ではあっても、素材が曲がり易く後処理が面倒。 とすると、少量のアルミ加工なら糸鋸盤が最適か?
以前、15x15mmのアルミ材を糸鋸盤で切断したことがある。少し時間はかかったが、アルミ対応の丸鋸で切るより断然綺麗に仕上がった。1~3mmm程度のアルミ材なら硬木の切断とそれほど違わない。

糸鋸盤の問題点は直線切り。仮に平行ガイドを取り付けても効果は薄い。糸鋸盤の刃の上下運動を低速にして少しずつ切断することで精度を確保することになる。
実際に糸鋸盤で1.5mmのアルミ板を切ってみた。刃のストロークは毎分900回程度。 嘘のように綺麗に切れる。厚0.3mm幅0.65mmの刃を使った時、ヤスリを使わなくともサンドペーパー仕上げで十分満足の行く精度が得られた。慣れれば更に精度を上げられそう。

糸鋸盤の選び方と使用上の留意点

一、卓上糸鋸盤は内外の各社から発売されている。値段は1万円未満から30万円超まで様々。
  アルミ材を加工するなら、刃の振動速度可変タイプが良い。
一、糸鋸は刃の切れ味で切る。素材を強く押しつけてはダメ。
一、曲線に切る時、素材を適当に回してはダメ。必ず接線方向に切ること。これ重要事項。
一、曲線切りをする時、刃の後ろ角を砥石で面取りすると良い。

一、電源のON/OFFはフットスイッチで。部品を求めれば簡単に自作できる。
一、糸鋸盤は結構振動する。頑丈な台にしっかり固定する。
  但し、ダイニングテーブルを使うと家族から顰蹙をかうので要注意。

一、正確な切断のためには切りくずの除去が大切。集塵機と連動すると効率が上がる。
一、糸鋸の刃は無理な力をかけると直ぐ破断する。刃が飛んだ時のために防護眼鏡は必須。

一、図面は鉛筆書きではなく、適当な作図ソフトを使って誤差1/10mm以下の精度に仕上げる。
  両面テープまたはスプレー糊を使い、アルミ板に図面をしっかり貼り付けてから工作する。
  セロテープでチョイ留めはダメ。
一、ねじ穴は×印や+印ではなく、正確な円を描き、長めの十文字線を添える。

工具の紹介 (2015/5/10 改)
ヘグナー社の糸鋸盤 マルチカット-SE
信じられない程の切れ味。2000年に購入。
以後、刃を固定する螺子を交換しただけ。
しっかりした工作台に固定する。
重量23Kg。移動がしんどい。
モルテッツ社の集塵機QA35E。静かで強力。
集塵機はなくとも自分でフーフーすれば間に合う。
左は自作のフットスイッチ。
糸鋸盤作業は必ず両手行う。
デルタ社の回転数可変式ボール盤 DP350。
X軸Y軸方向微調整機能は別製品。
完璧な位置決めができる。
本体とXYテーブルを合わせると40Kg超。
電動工具用キャスターに載せている。
ホーザン社の板金折り曲げ機 K-130
アルミ厚1.5mmまで。
この折り曲げ機も工作台に固定する。
曲面仕上げ用丸棒
各種の径を揃えておくと便利。
求める径がないときは紙を巻いて調節する。
自作の特製サンダー
  18mm厚のMDF板 + 8mm厚の鏡
  + 粘着式サンドペーパー
アルミ板切断面の仕上げに使った。
これは410×110mmで小型、大型は810×110mm。
自作のサンドペーパー保持具 90×40×32mm。
細部の仕上げ用 数種類用意すると便利。
サンドペーパー保持具を分解 2個分。
研磨面に硬めのゴム板を仕込んだ。
更に狭い部分は適当な端材を用いる。
他の工具は作例中で紹介します。  → 【自作Case一覧】
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