MSI 890GXM-G65 + AthlonII X4 615e   最終更新日 : 2018/04/26

「あれこれテストする VI」 2010/12/3付の節で、友人のために地デジ対応PCを仕立てる件について述べた。それから半年以上も放置してしまった。先日その彼に会い遠回しに催促された。アナログ停波に伴いTVが不足しているようだ。 そこで別ページの「極小PCケースづくり」を一時中断し、このPCを完成させることにした。 (2011.7.27)

在庫整理PC (2011.7.27)

部品の構成はほぼ決まっていた。
 【M/B】 MSI 890GXM-G65
 【CPU】 AthlonII X4 615e
 【CPUクーラー】 Silver Stone SST-NT06-E
 【メモリ】 DDR3 1333 4G×2
 【VGA】 GIGA HD5750
 【SSD】 Crucial CTFDDAC064MAG(システム用)
 【HDD】 Western Digital WD10TPVT 2.5" 1TB (データ用)
 【サウンドカード】 ONKYO SE-90PCI
 【地デジカード】 PIXELA PIX-DT096-PE0
 【電源】 未定
 【ケース】 IN-WIN IW-BR661 DragonSlayer
 【OS】 Win7Pro64
多くは動作確認をしたまま使わず仕舞いの部品である。不遇な品々ではあるが決して中古ではない。

・MSI 890GXM-G65はSATA3.0及びUSB3.0に対応。テストした限り不都合はなかった。
・本PCの使い途は Web・Mail・動画が主なのでAthlonII X4 615eで十分。
・Silver Stone SST-NT06-Eについては後述する。
・GIGA HD5750についても後述する。
・当初サウンドカードはAUDIOTRAK PRODIGY 7.1e X-Fiの予定だったが、ビデオカード
 HD5750を載せることになったためにPCIeスロットが足りなくなり、仕方なくONKYO SE-
 90PCIを選んだ。
・予定の電源 ENERMAX ECO80+ EES350AWTは既に販売終了。目下思案中。
・予定のケース SILVERSTONE SST-SG03B-Fは別のPCで使用済み。
 手元に残るMicro-ATXケースはIN-WIN IW-BR661 DragonSlayerだけ。

【Silver Stone SST-NT06-E】
このクーラーは大分前に購入したものの中々出番がなかった。最近発売されたKOZUTI SCKZT-1000にヒントを得て、漸く日の目を見ることになった。つまり、ファンをヒートシンクの下に取り付けることにしたのだ。だが、そのままでは25mm厚ファンは取付不可。ファン取付金具を外してギリギリセーフになった。ENERMAXの120x25mmPWMファンを載せたらアイドル時の回転数は580rpm前後(室温29℃)。CPUだけではなく、M/B全体によく風が廻り結果は良好。高さは82mm。ケースを選べばMini-ITXでも使えそうだ。

【GIGA HD5750】
本PCはMSI 890GXM-G65内蔵のHD4290をそのまま使う予定だった。ところが今年登場したSandyBridgeやE-350 APUに内蔵するGPUに較べてかなり見劣りする。 ベンチ結果だけではなく画質の点でも不満が残る。そこで手持ちのカードを何枚か試し、GIGAのHD5750を載せることにした。

ところが、このカードについては「DFI P55-T36 + Xeon L3426」ページ 2009/12/21付の節で述べた通り、アイドル時にクロックダウンせず常時フル稼働する。最近のビデオカードはGPU Clock及びMemory Clockともアイドル時に定格値の1/3以下に下がる例が多い。手元にあるもう一枚のHD5750は、
 ・PU Clock 定格値 700MHz → アイドル時 157MHz
 ・Memory Clock 定格値 1150MHz → アイドル時 300MHz
と変化する。そこでGIGAのサイトから新しいBIOSを見つけ早速Updateした。問題は一気に解決。前述のカードと同様にクロックダウンし、アイドル時の消費電力は20W下がった。

さて、このカードにはもう一つ問題がある。例によってファンのノイズである。決して煩くはないが静かとも言えない。ビデオカードに付属するファンは、使い始めは静かでも1~2ヶ月で賑やかになる例が多い。やはりVGAクーラーを交換しよう。手持ちの中から「雪原」を選んだ。(最新版の「雪原2」ではなく旧版)以前このVGAクーラーをHD4850に取り付けた時、付属のファンコンでファンの回転数を最小に絞るとやや冷却不足だったが、今度はどうだろうか。結果は○。ファン回転数最小約750rpmでもGPU温度は35~36℃程度(室温29℃)。リテールクーラーの時に較べて凡そ10℃低くノイズレベルも良好である。

【PIXELA PIX-DT096-PE0】
地デジカードは3波Wチューナー PIXELA PIX-DT096-PE0。09年12月に購入以来1年半以上経ってしまった。そこで付属のインストールディスク導入後直ちにUpdateした。ところがNHK総合を認識しない。他の局は全て視聴できるのにどうしたことか。前回試した時は問題なかったのに。先ず疑ったのは受信レベル。アンテナケーブルを付け替えたり分配器を交換したりしたが×。再インストールしても×。結局、付属のインストールディスクでチャンネルスキャンを行い、必要な設定を全て済ませてからUpdateすれば良いことが判った。各チャンネルの受信レベルを確認したらNHK総合が最も弱かった。翌日、再度受信レベルを確認したら、今度はNHK総合が最も強かった。和気若布状態である。

80+ Platinum仕様の電源 (2011.7.27)

予定の電源ENERMAX ECO80+ EES350AWTは、廉価品にも拘わらず静かで効率もよく使い易かった。我家では?個も使っている。その製品が絶版となれば代わりを探さなくてはならない。
 ・ENERMAX ECO80+ II EES400AWT II : 手元にあるがファンが煩い
 ・ENERMAX NAXN80+ ENP350AWT : 評判は今一つ
 ・Huntkey 絢風-AYAKAZE- 300W : PCI-Express 6pin出力がない
では 80+Platinum仕様のSuper Flower SF-550P14PEはどうだろうか。評判は悪くない。この際だ、一つくらい最新の部品を使ってみよう。

現在、仮組の電源はSilver Stone SST-ST45SFである。比較データは以下の通り。


電源
容量
形式
80+
消費電力
ノイズ
Idle時
3DMark06
実行時
最高値
Yumeria
実行時
平均値
Prime95
実行時
最高値
BS Premium
視聴時
平均値
Sleep時
SW
OFF時
Silver Stone
SST-ST45SF
450W
SFX
Bronze
53 W
128 W
118 W
100 W
100 W
1 W
0 W
静か
Super Flower
SF-550P14PE
550W
ATX
Plutinum
48 W
120 W
110 W
93 W
93 W
0 W
0 W
Seasonic
SS-750KM
750W
ATX
Gold
53 W
127 W
118 W
100 W
99 W
0 W
0 W
部品構成は上記とは少し異なり、ストレージは SSDx1、HDDx0、32GBのCFメモリx1である。


流石Plutinumだ。SST-ST45SFに較べて、アイドル時は5W、負荷時は7~8W低い。Prime95を回してもファンは沈黙。未だファンが回る姿を見ていない。 コイルの鳴きもなく無音である。総じてpicoPSUより成績は良い。ならば決りか。ところが少々問題あり。

サウンドカードSE-90PCIとの相性問題がでた。スリープ復帰後、SE-90PCIを認識しないのだ。SST-ST45SFではそうした問題は起こらない。試しにSE-200PCI LTDを挿してみたがこれも問題なし。SF-550P14PE+SE-90PCIの時だけ起こる。さて、どうするか・・・

その後、Seasonic SS-750KMでも計測した。消費電力に関するデータはSST-ST45SFとほぼ同じ。スリープ復帰後の問題もなし。
Fractal Design Arc Mini (2011.7.29)

SF-550P14PE使用時に限り、スリープ復帰後SE-90PCIを認識しない件、その後如何に。
購入後の試運転は7月27日。ところが翌28日に全く同じ部品構成で起動したら何故か問題は解決していた。使い下ろした許りでSF-550P14PEに登載するコンデンサ類のチャージが十分ではなかったのではないかと想像しているが確たる証拠はない。結果良しとしよう。

さて、もう一つ問題が生じた。HD5750にVGAクーラー「雪原」を載せた時、M/B基板面からの高さは160mm余となる。予定のケースIN-WIN IW-BR661 DragonSlayerの幅は196mmあるのにその雪原が収まらないのだ。DragonSlayerは側面に膨らみがあり、更に裏配線が可能な作りのため、拡張スロット付近の内部有効高は150mm程度に留まる。

あれこれ検討したが、ノイズレベルと冷却性能に満足できる2スロット仕様のVGAクーラーは見付からなかった。ならば、ケースを再考せざるを得ない。
 ・M/B基板面からの高さが160mm以上あること
 ・長さが180mmあるSuper Flower SF-550P14PEが収まること

思案の末、Fractal Designの最新ケースArc Miniを選んだ。
 ・価格の割りには見て呉れよし。特に黒塗装の品質は好ましい。
 ・名前はMiniだが決して小さくはない。W210xH405xD484mm=41.2L (DragonSlayerは35.9L)

在庫整理PCらしからぬ展開になってしまった・・・

Audiotrak PRODIGY HD2 ADVANCE (2011.7.29)

SF-550P14PE+SE-90PCIの件は解決した。ところが、既に新たなサウンドカードを注文した後だった。気が短い性格なのでよくあることだ。そのカードが届いた。PCI仕様のAudiotrak PRODIGY HD2 ADVANCE(以下PRODIGY HD2とする)である。同じくAudiotrakの PRODIGY 7.1e X-Fi Audio(PCI-Ex1仕様)が大層気に入っていたので選んだ。

SE-90PCIからPRODIGY HD2に替えたところ、高域が濁り気味で耳を刺す。再びSE-90PCIに戻したら、音の濁りは減ったものの高域の伸びは感じられない。それぞれ単独に聞けば気にならない点も、両者を同時に較べれば細部の違いは明らかになる。

アナログ2ch出力の時、
 ・両者とも中低域はほぼ同じ音がする。違いは高域にあり。
 ・SE-90PCIの高域は、温和しく聞きやすいが伸びは感じられない。
 ・PRODIGY HD2の高域は、濁り気味で耳当たりが悪い。
 ・SE-90PCIのドライバは 2010/10/08付 Envy Family Audio Device Driver V5.60C
  PRODIGY HD2は 2010/1/12付 Envy Family Audio Device Driver V5.50A

そうなのだ。両者のサウンドチップは同じだったのだ。ならば、SE-90PCIのドライバでPRODIGY HD2は動作するかも知れない。結果は吉、高域がスッキリし大分聴き易くなった。暫くエイジングしよう。
これで部品選びは一段落した。直ぐにもケースに組み込めるが、その前に Phenom II X6 1055T で試してみよう。
Phenom II X6 1055T (2011.7.30)

ケース組み込み後にCPUを交換するのは面倒だ。仮組中にPhenom II X6 1055Tを試してみよう。このCPUは、動作Clock:2800MHz、6Core、TDP:95W。前にMini-ITX M/Bで試した時、CPU自体の発熱はCPUクーラーで対応できるものの、M/B全体の排熱処理は難しかった。Micro-ATXではどうだろうか。

CPUクーラーには615eの時と同様、Silver Stone SST-NT06-Eを載せた。ファンの取付位置は、仕様通りヒートシンクの上部に据えた。実は、この1055Tも615eもWindows上から正確なCPU温度を知ることができない。 数種のソフトで試したところ、何れも20℃前後の値となる。室温は30℃あることから、CPU情報が正しく認識されていないものと思われる。こうした時はCPUクーラーのヒートシンク温度を測ることにしている。測定結果は30℃台前半であり、CPUクーラーの能力に問題はない。M/B全体の発熱もMini-ITXの時ほど酷くはなく、ケースファンで十分対応可能であろう。ベンチ結果は以下の通りである。

CPU
Athlon II
X4 615e
Phenom II
X6 1055T
TDP 45W
TDP 95W
GPU
HD5750
Win7 Score
7.1 7.1 7.3 7.3 7.9
7.4 7.4 7.3 7.3 7.9
3DMark06
Score:11894
SM2:4652
SM3:5568
CPU:3421
Score:14812
SM2:5688
SM3:6481
CPU:5157
3DMark06実行時
ピーク消費電力
128W
175W
Prime95実行時
ピーク消費電力
95W
140W
BS Premium視聴時
平均消費電力
95W
125W
アイドル時
消費電力
49W
64W

如何にベンチ結果が優秀でも、今時アイドル時消費電力64W、TV視聴時消費電力125Wは受け入れがたい。ホームユースのPCなら615eで十分だ。

組み立てた (2011.8.3)

今回使用したケース Fractal Design Arc Mini (W210xH405xD484mm=41.2L)は、
MicroATXケースとしては大振りなので組立は楽々だった。
 ・前板及び両側板の取り外しは簡単。
 ・ケースの底板に電源の吸気口が開いているので、吸気は内外両対応。
 ・裏配線可能。
 ・仕上精度は良好。
 ・黒塗装は指紋が目立たない。
 ・前板は樹脂製だが、決して安っぽくはない。
 ・価格の割りにはよくできたケースと言えよう。

では、部品を組み込もう。
 ・先ず、付属のファン2個を外し、ENERMAX UCTB12を3個取り付けた。
  駆動電圧を5Vにするか7Vにするかは思案中。
 ・二つあるHDDホルダーの内、一つを外した。
 ・I/Oパネルは無理なく収まった。
 ・裏配線のお蔭で内部はスッキリ。
 ・付属のファンコンは使わず、クレバリーのファンコントロールボード EZ-FC14 を取り
  付けた。
 ・SSDはIntelの付属金具を使ってHDDホルダーに収めた。
 ・消音ボックス入り2.5"HDDは、適当な位置にビス穴がなく一工夫した。
  現在、HDDは1個だが2個にする予定。
 ・電源の向きは内部吸気にした。
  外部吸気の場合に較べて、M/B各部の温度は好成績だった。
 ・BDドライブ Pioneer BDR-S06J-KRとのマッチングも良好。
 ・のっぽのVGAクーラー雪原は無事に収まった。ケースに収めた時、ファン回転数最小
  でもアイドル時のGPU温度は40℃を超えない。(室温29℃)

HD5750付属のヒートシンクに120x12mmファンを
取り付けたが、冷却能力不足で却下。
VGAクーラー「雪原」を取り付けた。
高さはM/B基板面から160mmある。
例によって、豆ヒートシンクをベタベタ貼り付けた。
付属のファンコン最小絞りで十分。
Silver Stone SST-NT06-Eの仕様とは異なり、
ヒートシンクの下にファンを取り付けてみた。
冷却能力に問題なし。
Mini-ITXならこうしたであろう。
SST-NT06-Eを仕様通りに戻した。
ケースが大きいので中はガラガラ。
裏配線のお蔭でスッキリ。

VGAクーラー雪原のファンはカード面から外側に
向かって吹き出す。 電源の取付方向はファンが
上向きになるよう据えた。電源ファンは未だ一度
も回らないが、雪原の排気はスムーズである。
電源の向きを逆にするとHD5750のアイドル時
GPU温度は5~6℃上昇する。
今回もまた、Pioneer BDR-S06J-KRを使った。
フロントパネルは樹脂製だが、そうは見えない。
デザイン・精度・使い勝手・価格など、
お奨めできるMicroATXケースと言えよう。

【まとめ】

・ケースについては前述の通り、大きさが40L超であることを除けば欠点の少ない優れた
 製品と言えよう。
・HD5750は画質が良い。発色・精細度とも十分満足できる。
・或る事情により、地デジカードはPT2ではなくPIXELA PIX-DT096-PE0を選んだ。絵は
 綺麗だが、視聴ソフトの起動、及び放送波やチャンネルの切替が遅くて苛つく。 更に
 オーディオ設定がアナログ限定であることも不満だ。
・拡張スロットに余裕がなく、Onboard NICで間に合わせたが、やはり問題あり。
 最近の蟹NICはドライバによってパフォーマンスが著しく異なる。Windows Updateによる
 ドライバは最悪で、ネットワーク越しのTSファイル再生は実質不可だった。
 やむなくMSIのサイトからDLしたドライバを使っている。
・サウンドカードAudiotrak PRODIGY HD2 ADVANCEは、PCI-Ex1仕様のPRODIGY 7.1e
 X-Fi Audioに較べてやや聴き劣りする。5日程使い込んで多少改善されたが、それでも
 高音域は濁り気味だ。ONKYO SE-200PCI-LTDに替えるかもしれない。

本PCは数日間エイジングの後、友人宅に納める予定である。満足して貰えるかどうか
少々心配である・・・

これにて一先ずおしまい・・・