工作台の天板調整について

工作台の用途は、切断・切削・穴開け・研磨・組み立て・製図・塗装、そして出来上がった作品を前にして酒盛りをする等々、使い途は広いですね。ところが、工作台の天板平面精度に悩む木工愛好家は決して少なくないと思います。小生、工作台の天板調整には随分苦労しました。以下はそのレポートです。お役に立てば幸いです。

1) 十分真っ直ぐな定規を使って天板の凹凸をマーキングする。

定規は必ずしも真っ直ぐではないので良く確認する。

2) 凸部分を立鉋で少しずつ削る。

始め普通の平鉋で試みたが、カバの集成材は順目逆目が入り交じり、入念に調整した
(つもりの)鉋でも、逆目が立って思うように削れなかった。鉋刃の出を最小にすれば逆目は抑えられるが、それでは時間がかかり過ぎる。結局、立鉋を使って削ることにした。

先ず、木目に対して直角方向から削る。大体の平面が出てきたら木目方向にも削る。何度も定規を当てて確認しながら、縦・横・斜め各方向に削る。因みに、500mm×1500mmの天板を削るのに3時間程かかった。

3) 立鉋が無い場合、或いは鉋の刃研ぎが苦手な場合は、

手押カンナ盤用の替刃に添え木を付けて使うことをお勧めしたい。その場合、刃は垂直より少し手前に傾けて材質に応じた削り易い角度を探す。削り方は立鉋の場合と同じだが、手押カンナ盤の刃はよく切れるので、削り過ぎとケガに十分注意を。バンドエイドは必須、血染めの天板にならないために。

4) 次ぎに、天板の巾に見合う十分真っ直ぐなステンレス定規(ST定規)を用意する。

ST定規は簡単に撓むので、クランプを使って適当な角材を添える。ST定規を立てて天板を削る。この時、垂直より少し手前に傾けて材質に応じた削り易い角度を探す。切れ味が悪くなったら、定規の別の角面を使う。合計4面使える。この作業で鉋刃の跡など小さな凹凸を消すことができる。

ST定規が刃物代わりになる.. うっそう~! ではない。どうぞお試しを。では、切れ味の悪くなったST定規はどうしたらよいか。心配には及ばない。紙や薄板を切るときのガイドとして使えば、知らず知らずの内に復活する。

5) サンドペーパーを使って仕上げ磨きをする。

電動サンダーや小型のペーパー保持具ではかえって平面性を損ねるので、必ず下記の特製サンドペーパー保持具(EXサンダー)を作ろう。

6) EXサンダーの作り方

①誰でも入手できる素材の中で、最も平面精度が高い素材はではないだろうか。
 そこで、巾:100mm、長さ:天板巾程度、厚み:5mm~8mm程度の鏡を用意する。
 ガラス屋に頼めば、必要な大きさの鏡が入手できる。
②巾:105mm、長さ:鏡板長+5mm、厚み:18mm~24mm程度の十分平滑な板を用意
 する。(自分はMDF板を使った)
③鏡と板を両面テープで貼り合わる。
④鏡面にロール式の糊付きサンドペーパー(巾:95mm)を貼る。
⑤このEXサンダーは、他にも多くの用途がある。鉋台の調整、砥石の調整、治具や定規の調整等々、誤差1/10mmオーダーの仕上げに使える。自分は大小合わせて5台作った。

7) EXサンダーを使って天板を磨き上げる。

この時、ペーパーの番手を上げながら、ST定規を併用する。即ち、EXサンダー(#120)仕上げ → ST定規仕上げ →EXサンダー(#180)仕上げ → ST定規仕上げ →EXサンダー(#240)仕上げ。随時定規を当てて縦・横・斜め方向の平面性を確認する。

8) 確認方法は、

始めは定規のガタつき加減、最終段階では定規の向こう側に光源を置き、光の漏れ具合を見る。納得が行かない場合は、2) 或いは 3) に戻る。

9) 湿度の変化に対応するためにオイル塗装する。

次回の調整を考えて薄塗りにする。自分はオスモワックス・ノーマルクリアーを使った。

10) 結果は良好。

天板上に平らな板を置くと一瞬吸い付く。不用意に持ち上げると部材を落としそうになる。天板上で部材の平面性や直角が簡単に確認できるようになった。工作精度の向上が期待できる。

11) 天板の平面誤差が著しく大きい場合は、別の方法を考えなくてはならないが、

誤差が2mm以内なら、上記の方法で十分対応できる。また、天板の材質が軟材の場合は多少逆目があっても普通の平鉋で削れる。何れにしても、仕上げはST定規と特製サンダーの使用をお勧めしたい。

12) 天板の調整で大切なことは、80~90%の仕上げで妥協すること。

天板は、温度・湿度・照明・通風・経年変化等によって必ず狂いが生じる。
一度の調整で完璧を目指さず、定期的に調整するよう心がけよう。

他にも良い方法があると思います。 どうか諸先輩のご意見もお聞き下さい。