Others II

Others頁が長くなったので、続編を起こした。 (2019/10/19)

神の雄羊 (2019.10.19)

与太郞さんや熊さん八つぁんが登場する粗忽話の類いは、落語の世界だけではなく、洋の東西を問わずどこにでもある。そうした話を集めた「世界の愚か村話」からイタリアの笑話を紹介しよう。

  世界の愚か村話 (世界民間文芸叢書別巻) 1995/6
  日本民話の会外国民話研究会 (翻訳)

井戸の中の月
 井戸の中の月っていうのはオナーノの言い伝えなんだ。オナーノっていうのはこの言い伝えのようなことがあったっていわれてる村なんだ。
 それで、ある旦那が、百姓だけどね、旦那って呼ぶんだ。だって今じゃ百姓だって旦那なんだからな。いつだってほかの連中よりわけ知りな御仁は旦那なんだ。それで、ある旦那がロバに水を飲ませに井戸へいった。夜おそかったんで井戸の中に月が映っていた。だけど、その男とロバが井戸のそばに寄ると、月が見えなくなってしまった。男は後ろへとびのいていった。
「食べちゃった。おれのロバが月を飲み込んでしまった!」
それでどうしたかって?
「月をとりもどさなくちゃ」ってわけさ。昔のことだよ。言い伝えなんだ。男はロバの腹を裂いて、月が入ってるか見たのさ。月をロバが飲み込んだと思ったからね。
  *オナーノはイタリア中部の村。

神の雄羊
 これもオナーノでのことさ。ある学生が司祭になるために試験を受けたんだ。最初のときはミサをいわされて、おっこちたんだ。神の子羊ってのを忘れたからね。神の子羊っていわなかったのさ。それで試験に落ちて次の年にまた受けることになった。次の年になって、またミサをいわされたんだ。試験としてだよ。わかるかね。そのとき、その学生は神の雄羊っていったんだ。
「おい、おい、なんだねそれは?」ってきかれた。
そうすると、その学生はいったんだ。
「去年、子羊だったんなら、今年は雄羊になってるわけでしょうが」ってね。

分別を買う (2019.10.20)

前節に続いて、イタリアの笑話をもう一つ紹介します。

分別を買う
 カプレーゼじゃ、みんなこんなふうに考えてた。
「サンセポルクロの村じゃ、おれたちより分別をもってるんだってさ」
「どうする? おれたちより分別をもってるって、どうやって手に入れたんだ」
「フィレンツェにあったってことだぜ、フィレンツェで分別を売ってるってさ」」
「それじゃ、おれたちもフィレンツェへ行かなくちゃなるまい」
そこで、二人がフィレンツェへ分別を探しに行った。フィレンツェに着くと、一軒の食堂に入って聞いた。
「分別を売ってるってのはここかね」
そこにいた連中はそれを聞くといった。
「ああ、だけどあんたたち、どこの衆かね」
「おれたち、カプレーゼ・ミケランジェロのものさ」
「そうか。だけど、明日の朝まで待たなくちゃいけない。すぐには用意できないからな。準備がいるんだ」
 その夜、連中は鼠を一匹つかまえて、箱の中へいれた。カプレーゼの衆はその箱をもって帰りかけた。そしてアンギアーリのあたりまできたとき、一人がいった。
「おれたちんとこじゃ、ばかがいっぱいいるもんな。この分別をカプレーゼのみんなにもってったら、一人あたりどれだけになるかな」
「ここで開けた方がいいかもな」
「だけど、あとでなんていわれるかわからんぞ」
「だけど、開けようぜ」
 そこらには道路に敷く砕石や砂利の山がいくつもあった。箱を開けると、あの鼠がとびだして、砕石の山の中にもぐりこんだ。カプレーゼの二人は手で砕石を掘った。鼠は一つの山から、もう一つの山へと逃げ回る。二人は八つも山を掘ることになってしまった。
 それを道路工夫が見ていた。
「いったい、なにしているんだね。あんたたち、どうかしたんじゃないかね」
「ほっといてくださいよ。おれたち分別をなくしちまったんだから」
「そりゃ、さっきからわかってるよ」
 道路工夫はもってたシャベルで砂利を七、八杯、二人の方へすくってよこしていった。
「分別をなくしたんなら、ほら、やるぜ!」
  *カプレーゼ・ミケランジェロ/サンセポルクロ/アンギアーリ、いずれもイタリア中部の村。

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この手の話をもっと沢山読みたい方は
  世界の愚か村話 (世界民間文芸叢書別巻) 1995/6
をお求め下さい。

Office Yahoo 終了 (2019.11.05)

Web閲覧の入口は、長年"Office Yahoo"を使ってきた。このPortal-SiteのTop頁には広告/写真/動画がなく、全体の色調も単調で目に対する刺激が少なく、視力の衰えた者にとっては好都合であった。その"Office Yahoo"は2019/10/31を以て終了すると告知されていた。実際には5日ほど猶予され、本日5日に通常版に移行された。Yahooの通常版は原色が多用され、目が疲れるので開きたくない。そうなると別のPortal-Siteを選ばなくてはならないのだが、どれも色調が好みに合わずなかなか決まらない。
 ・広告はない方がよい。
 ・写真や動画もない方がよい。
GoogleのTop Pageはそうした希望に添うが、検索窓だけで少々寂しい。せめて、Newsや天気予報くらいは欲しい。あれこれ探して見たものの今のところ見付からない。仕方ない、入口頁を自作しよう。以下の頁は間に合わせに作ったもの。これから時間をかけて工夫することに。



上のAddressは → http://140.227.85.36/pcg3/test_top.html

印度の夫婦喧嘩 (2019.11.08)

「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」と言われるが、王様とお妃様の喧嘩は厄介。引くに引けない立場にあるので、些細なことでも大事に至る場合がある。では、印度の例を。
(原文は子供向けの仮名の多い文章で少し読み難く、適宜漢字に改めた)
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 インドの国のある王様とお妃様が、むしむしする夜、都の真ん中の城の寝床の中で、目を覚ましていました。
 時々、そよ風が格子戸から吹いてきました、二人は眠ろうとしましたが、できませんでした。 しばらくすると、城の外で獣の吠える声が聞こえたので、ますます目が冴えてきました。
 王様はお妃様に注意しました。
「虎が吠えているぞ」
「虎ですって、町の真ん中に虎の居る訳はないでしょう。山犬に決まっていますわ」
「私は、虎だと言ったんだよ」
「夢でも見たんじゃありませんか。山犬じゃないなんてお考えになったりして」
「虎だと言っているんだ。私に逆らうな」
「おかしな人」
と、お妃様は噛みつくように言いました。
「あれはね、山犬でしたよ」
 二人の争いが激しくなりました。王様はとうとう、最後に言いました。
「宜しい、番兵たちを呼んで尋ねてみよう。あれが山犬だったら、この国をお前にやって、私は出て行こう。だが、虎だったら、お前を追い出して、新しいお妃を貰うぞ」・・・

このあと、波瀾万丈の展開になります。
経過と結末が気になる方は、
 ラング世界童話全集〈6〉
 ちゃいろの童話集 (偕成社文庫)
 原著:アンドリュー ラング
 編訳:川端康成・野上 彰
をお読み下さい。
桐 Ver.9 (2019.12.01)

我が家のDM発送用Label印刷は、昔から管理工学の桐を使っている。このSoftはDOS時代から世話になり、かれこれ○○年になろうか。但し、年に1回しか使わないので、Version Upが滞り、今尚2007年版の「桐 Ver.9」で間に合わせている。

普段、Label枚数が200~300枚の時はMS Accessで出力しているが、年末の大量印刷の時は、Barcode印刷に慣れた 桐 Ver.9 の出番となる。Barcodeを印刷した封書は、1000枚を超えると割引率が高くなり、区内特別郵便の場合、通常84円のところを32%引きの57円となる。

けれども、年1回の運用では細部の手順を忘れ、どうにか思い出した頃にはLabelは出来上がり、釈然としないままに作業終了となる。毎年その繰り返しである。そろそろ桐Ver.10へのUpdateを考えるべきであろう。

とぶつぶつ言いながらLabel印刷を終え、封筒にLabelを貼り印刷物を入れる作業を職員と家族総出で行うことになる。これが毎年、一族郎党相まみえる意外に楽しい師走最初の仕事である。

Guchi (2019.12.06)

ItalyのGucciではなく、ただのGuchi=愚痴である。
さて、PCに対する我が家の方針は、小型/静音/低発熱/省電力
 → 【S】Small 【S】Silent 【C】Cool 【PS】Power Saving → SSC_PS
である。

Intel 8000 Series / Rayzen 2000 Series迄なら、そうした希望もどうにか実現可能であったが、Intel 9000 Series / Rayzen 3000 Series は、少々事情が違う。
 ・空冷最強と言われる Noctua NH-D15 / be quiet! DARK ROCK PRO 4
  でも両Seriesの上位CPUでは能力的に厳しい。
 ・電源も ATX 12V 8P Cable 1本では不安がある。
そして、
 ・静粛性に優れた簡易水冷Coolerは選択が難しく、本格水冷は敷居が高い。
 ・ATX 12V 8P x2仕様の電源は大きく重い。
 ・小型のCaseではVRMやChipsetの冷却に不安がある。

従って、Intel/AMDとも最新の上位CPUを用い、小型軽量PCに仕立てるのは相当困難な状況になったと言えよう。抑もGameやEncoredに縁のない者にとって、そうした高性能CPUが活躍する場面はなくとも、PC自作erとしては寂しい限りである。

ではどうするか。当面、時代の先端を追わず 「必要充分なCPUを選び "SSC_PS"を追求する」 ことになろう。これでは愚痴の一つも零したくなる。

静かなAir con (2019.12.21)

我が家は昭和50年築の純和風木造建築である。それから22年後の平成9年に増改築を行い、更に22年経ている。その間、仕事部屋のAir conは数回交換した。現在使用中の製品は12年経過し、動作はするが冷暖房能力と動作音に不満がある。そこで、静音型に換える算段をした。馴染みの業者に相談したらD社の最新高品位機種を奨められた。さてどうしよう。PCのNoise Levelを確認する際、Air conを止めずに済むなら、それは有り難いこと。

12月20日、一日がかりでAir conの交換工事を行った。結果は◎。前に較べて俄然静かになった。吹き出しの方向を細かく設定できるので、好みの温度にし易く快適である。効率もよく稼働時間は幾分短くて済みそう。

最近の家電類は何かと音を発する。冷蔵庫/洗濯機/食洗機/電子Range/炊飯器/電気Pot/餅つき器/加湿器/眼鏡洗浄機等々、音なしの製品を見付けるのは難しい。せめてAir conくらいは静かであって欲しいとの願いはどうやら叶いそう。けれども、静音PCと同様、静音Air conもまた値が張る。部屋は暖かくなっても懐は寒さが厳しい・・・

亀に負けた兎 (2019.12.23)

兔と亀の話は誰でもよく知っている。
「ある時、兎に歩みの鈍さを馬鹿にされた亀は、山の麓までかけっこの勝負を挑んだ。かけっこを始めると予想通り兎はどんどん先へ行き、とうとう亀が見えなくなってしまった。兎は少し亀を待とうと余裕綽々で居眠りを始めた。その間に亀は着実に進み、兎が目を覚ましたとき見たものは、山の麓のゴールで大喜びをする亀の姿であった。」 とWikiに見える。

けれども腑に落ちない点がある。
 ・理由はともあれ、亀が兎に挑戦するなど無謀では。
 ・兎は亀に負けた後、ただでは済まないはず。
そうした疑問に対して昔から幾つかの後日譚がある。その一つに出会ったので紹介したい。いつか誰かに話して聞かせる話の種になるものと思われるので、ご参考までに。

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・・・兎村では、これが大問題になりました。それで村会を開き、
「競争の途中で昼寝をするような不真面目な選手は、兎村の恥である。」 と、決議しました。それから、
「そのような選手を私たちのこの兎村に置いておく訳にはいかん。狸村へでも鼬(いたち)村でもいい、直ぐに出て行って貰おう。」
 そう相談を決めました。昼寝をした兎は、全く困ってしまいました。どうしたら、みんなに許して貰えるだろうかと、首を捻って考えてしまいました。

 ところがその時、山の狼から村へ使いがやって来ました。
「狼さまの仰せじゃ。畏まって承れ。子兎を三匹持って来い。いいか。」
 使いの者はそう言うのでした。これは困ったことになったと、みんな思いましたが、何としても狼さまの仰ることです。聞かない訳には行きません。」
「は、はあ。」
 みんな頭を下げてそう言いました。しかし、その三匹の子兎を決める段になると、
「この子は可哀想、あの子も可哀想。」
となって、一匹だって狼にやれる子兎はありません。

毎日毎日朝から晩まで、村中の親たちが集まって相談しましたが、どうしても決まりません。狼からは矢のような催促です。
「子兎はどうした。何をぐずぐずしておるか。はやく三匹、美味そうなのを耳を揃えて連れてこい。狼さまはもう腹がぺこぺこでいらっしゃる。」
 度々使いの者がやってきて、こんな風に言いました。いよいよ兎村の親たちは大弱りです。

 ところがそこへ、亀に負けた兎が出てきました。そして言いました。
「何を心配しているのですか。」
「これが君、心配せずおれますか。」
 一人の親はそう言って、狼の話をしました。
 すると、負けた兎は言うのでした。
「そんなことは訳はない。狼を退治すればいいんでしょう。」
「そんな恐ろしいこと。」
 親兎は言いましたが、負けた兎は、
「その代わり狼を退治したら、私を追い出すという、あの決議は取り消してください。」
 そう言うのでした。そして、狼のところを指してやって行きました。

 狼は山の上に待っていて、
「やーい、子兎三匹連れて来たか。」
と、怒鳴って言いました。
「はいはい、それがでございます。」
 近寄って、兎は言いました。
「狼さまが怖いと言って、そこまで来て、子兎が駄々をこねます。どうか、その崖っぷちで、向こう向きになって、立っていて下さいませ。直ぐに引っ張って参ります。」
「こうか。」
 狼が、高い崖っぷちに、向こうを向いて立ちました。
「はい、はい、そうです。もっと、崖に近寄って下さい。そうです。そうです。」そう言って、兎は、狼を崖の直ぐ側に立たせ、今度は、自分が狼に尻を向けて立ちました。狙いを定めたのです。そして両方の後足を上げると、力を込めて、ぴょーんと狼のお尻を蹴りました。
 狼は、物も言わずに、崖を下へ落ちて行きました。それで、子兎は助かり、負け兎も村へ入れて貰いました。

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 偕成社文庫 「新版 日本のむかし話 2」 坪田譲治著 から
   原文は子供向けに仮名と句点が多く、大人には読み難いので、多少読み易く改めました。
   坪田さん御免なさい。

片仮名撲滅推進委員会 (2019.12.30)

本Siteを長年お読みの方は、既にお気づきのここと思いますが、2013/1/23 から引用文を除き片仮名を使っていません。何故そうしたか、2014/5/1の記事で理由を述べました。それから 5.7年経ちましたが、その方針に変更はありません。念のために拙文を再掲します。

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【片仮名を使わない理由】
 ① 最近、片仮名の表記が混乱気味で、統一された表記法が確立されていない。
 ② 海外からの閲覧数が大幅に増えた。

【①の件】
モニタ / モニター、プリンタ / プリンター、バイオリン / ヴァイオリン、ビオラ / ヴィオラ 等々、表記が分かれています。「ー」の使い方に関して言うなら、若い世代では「ー」は省略気味、中高年は「ー」を付する人が多いと言えましょう。 また「va vi vu ve vo」の読みを「バ ビ ブ ベ ボ」とするか「ヴァ ヴィ ヴ ヴェ ヴォ」とするかも悩むところです。他にも例を上げたらきりがありません。

実は数年前、Slovakiaからの留学生と知り合いになった時、「Slovakia」をどう発音するか聞かれたことがあります。自分の認識では「スロバキア」或いは「スロヴァキア」と答えたところ、そのどちらでもなく「スロワキア」が最も原音に近いと述べていました。抑も「va」の音は日本語にはなく「バ」や「ヴァ」はその代用であり決して適切な表記とは言えない、と強調していました。そう言われてみれば、ロシア名によく見られる「イワン」を英語表記すれば「Ivan」であり、その「Ivan」を「イバン」や「イヴァン」と読む例は見かけません。ところが、Slovakia大使館は「スロバキア大使館」、Wikiの見出しも「スロバキア」とされています。

また 「外来語はなるべく原音に近い表記に心掛けよう」 との風潮から 「ヴァイオリン」や「ヴィオラ」が増えつつあるものの、辞書では相変わらず「バイオリン/ビオラ」が優勢です。そうした面倒な思いから逃れるために、片仮名の使用をやめ、外国語は総てAlphabetで表記することにした次第です。

【②の件】
拙いSiteにも拘わらず、このところ海外からの閲覧数が日々増加傾向にあります。本Siteの1日平均閲覧数は1200程ですが、その内5~8%は日本以外からです。或る時、閲覧記録を入念に調べたところ、 Googleの翻訳Siteを通して閲覧する人が相当数いることが判明したのです。以来、Data表は極力英語で表記するよう心掛けています。その所為か、今では翻訳Siteを通さず直接閲覧する人が大多数です。

従いまして、本Siteの用語法は、
 ・日本語に置き換え可能な場合は、極力日本語で表記する。
  (例:前/後/左/右/上/下)
 ・日本語に置き換えると意味が変わる恐れがある場合はAlphabetで表記する。
  (例:Keyboard)
 ・日本語にない場合はAlphabetで表記する。
  (例:Mouse)
 ・広く知られた略称はそのまま用いる。
  (例:HDD/SSD/BD)
 ・ローマ字表記はご愛敬。
  (例:Omake/Obon)
 ・引用文中の片仮名はそのままとする。
 ・Data表内はできる限り英語で表記する。

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これからも片仮名抜きの和英混じり文で行くことになりましょう・・・

Y染色体Haplotype (2020.04.05)

・・・ある日、チンギス・カンは重臣の一人であるボオルチュ・ノヤンに 「男として最大の快楽は何か」 と問いかけた。ノヤンは 「春の日、逞しい馬に跨り、手に鷹を据えて野原に赴き、鷹が飛鳥に一撃を加えるのを見ることであります」 と答えた。チンギスが他の将軍のボロウルにも同じことを問うと、ボロウルも同じことを答えた。するとチンギスは 「違う」 と言い、「男たる者の最大の快楽は敵を撃滅し、これをまっしぐらに駆逐し、その所有する財物を奪い、その親しい人々が嘆き悲しむのを眺め、その馬に跨り、その敵の妻と娘を犯すことにある」 と答えた。(A・ドーソン『モンゴル帝国史』)・・・とWikiに見える。

実は、Mongol/中国北部/中央Asia/中東には、ある共通の「Y染色体Haplotype」が検出され、その拡散原因が成吉思汗に由来するとの説が、Mongolを扱った諸本の中に度々登場する。そして、そのY染色体を引き継いだ男系の子孫は1600万人に達し、女系の子孫を加えれば計り知れない数になるとも言われる。勿論、異論も多い。

さて、"COVID-19 Coronavirus"による国別の死者数を較べると、
 ・Negroid < Mongoloid < Caucasoid の順に多い。
 ・Latin/German系に較べてSlav/Fin/Altai系の国々の死者数が少ない。
 ・西欧/南欧/北米に較べて中欧/東欧/Vulcan/中央Asia諸国の死者数が少ない。
 ・つまり、旧Soviet連邦及び親Soviet諸国の死者数が少ないことになる。
 ・その理由として 「Russia株BCG」 の接種にあるとの説があるが未解明。
 ・そうした差は西欧/南欧諸国に較べて他国との交流が少ない所為とも考えられ、
  とても結論めいたことは言えない。

けれども、旧Soviet連邦及び親Soviet諸国は、その昔Mongolに蹂躙された地域とほぼ一致し、そうした国々の民族構成、即ち「Y染色体Haplotype」の分布が気になる。
と言うことで、電脳三昧を一時中断し読書三昧に耽った次第です。

二輪草 (2020.04.06)

我が家の南西100mm付近に二輪草の群落がある。面積は凡そ200㎡。毎年この時期になると開花するのだが、梯子を掛けなくては行かれない場所にあり、見そびれることがある。満開は数日先のよう。
この場所は丘陵地の北側斜面にあり、夏は廻りの落葉樹が生い茂り半日陰になるが、冬から春先にかけては比較的明るく、初めて見たら桃源郷に思えるかも。
二輪草の花は五弁。開ききれば径20mm。今は15mm程度。
二輪草の群落に浦島草が混じる。一見、蛇の鎌首のように見えるので子供の頃は怖かった。 現在は絶滅危惧種に指定されている。
読書三昧 (2020.05.22)

COVID-19の影響により仕事量は1/4以下に減った。映画の録画も1/3以下。酒を飲まないので夜は長い。深夜の音楽鑑賞は無理。そうなると読書以外にすることはない。

むかし習った世界史は「人類の誕生・四大文明・Greece・Rome・宗教戦争・西欧諸国の覇権争い・産業革命・2回の大戦・・・」が主な項目であった。けれどもその範囲に属さない国々や時代の様子について興味が湧いてきた。例えば、
 ・紀元前のBritain
 ・民族大移動の原因になった中央Asiaの動向
 ・Vikingの足跡
 ・Russia以前のSiberia
 ・Europaの水運
等々。けれども求める本は中々入手できない。専門的な学術書は高価で手が出せず、取り敢えず入門書や案内書から入ることにした。

緊急事態宣言発令中に読了した書籍
分野
書名
イギリス・アイルランド
の古代史
巨石 イギリス・アイルランドの古代を歩く
ストーンサークル 不思議な巨石群
ガリア戦記
アイルランドの神話と民話
中央アジアの歴史
ユーラシアの大草原を掘る 草原考古学への道標
中央アジアの歴史と考古学
中央アジアの歴史と現在 草原の叡智
カザフスタン 草原と資源と豊かな歴史の国
コーカサス地方の歴史
アルメニアを巡る25の物語
ジョージアの歴史建築 カフカースのキリスト教建築美術
ヴァイキング
に関する伝承
ヴァイキング時代 諸文明の起源
地中海の十字路 シチリアの歴史
ノルマン騎士の地中海興亡史
中世シチリア王国
シベリア先住民の歴史
極寒のシベリアに生きる トナカイと氷と先住民
アジアとしてのシベリア ロシアの中のシベリア先住民世界
シベリア最深紀行 知られざる大地への七つの旅
ヨーロッパの水運
土木遺産V 世紀を越えて生きる叡智の結晶 ヨーロッパ編
運河で旅するヨーロッパ

まだまだ駆け出しで、とても評論できる水準に達していない。読み進めるうちに益々疑問は深まり書籍の買い増しを迫られる。歴史学/考古学/宗教史/哲学史/文化人類学/民俗学/言語学/天文学/歴史地理学/農業/漁業/牧畜/鉱業/土木/建築/造船/地震噴火/風水害/疫病/気候変動/芸術文化等々、少しは判った気分になれる日はやって来るのだろうか。

そうこうする内に、本日は Comet Lake CPU&M/B の到着予定日・・・

家守被害59K円 (2020.06.01)

先日、業務用の大型空調機が故障した。早速修理を依頼したところ、原因は「家守の侵入による基板の焼損」とのこと。 二人のService Manが二日掛かりで修理を終え、代金は59K円。 担当者の言に依れば、昆虫や小動物が原因の故障は少なくないとのこと。これまで落雷の影響による故障は数度経験しているが、家守による被害は初めて。そうなるとPCもまた要注意。我が家は築40年以上経た純和風建築。家守のほか、クモ/カメムシ/ゴキブリ/コオロギ/スズムシ、そしてリス。心配は尽きない。

ところで、今年もまた日の出から日没まで鶯がよく鳴いている。3月から雨の日以外に休むことはない。当地は横浜駅から直線距離2.5Kmに位置し、一寸した山里風の恵まれた環境にある。家守くらいで大騒ぎするのは罰当たりか。収入激減の昨今、太っ腹に構えるのが吉・・・

夜目遠目Maskの内 (2020.06.30)

Coronaの影響で2ヶ月延期された我が人生3度目の外科手術は、6月19日入院、本日6月30日無事退院となりほっとしています。2度あることは3度あるとは言われても、3度あることは4度あるとはあまり言われないのではとの希望的観測は度外視しても、主治医は今回で落ち着くのではと述べています。

ところで、入院中に気付いた点を上げれば、
 ・男性看護師が着実に増加中との印象を強くした。
 ・Coronaの影響で面会が禁止となり病棟内は至って静か。お陰で読書が捗った。
 ・若い優秀な看護師が多く、息子の嫁探しに苦労されている方は一考の余地が
  ありそう。但し 「夜目遠目Maskの内」 と言われる昨今、即断は禁物か。

実は入院中の11日間、TV/新聞/雑誌/PC等一切拒否し、連絡用に携帯電話を用いただけだった。従って、世間の動向とは無縁の日々を送った。帰宅早々Webを確認したら、大して代わり映えせず、浦島太郎には成らずに済みそう。

7月は税務署/社会保険庁/神奈川県庁等への提出書類が多く、PC道楽への復帰はもう少し先に・・・

美人の系譜 (2020.07.25)

今回は全くの戯言です。お急ぎの方は通り過ぎてください。

近頃、知らない人名や略号が多くなった。例えば、現役の歌手や芸能人で顔と名前が一致するのは、原田知世とBabymetalくらい。ご当地保土ヶ谷の中学を卒業したと言われる剛力彩芽や新垣里沙の正しい名前の読みや顔も知らない。

機能最小限の携帯を持ってはいるが月々の支払は基本料金の880円だけ。先月入院の際に少し使って2000円弱。これがこれまでの最高金額。当然、SNSやpaypayも縁がない。Youtubeも未発売の楽曲を確認するだけで、Youtuberなる存在も知らなかった。更には、Suika等のPrepaid Cardも経験なし。抑も、電車やBusに乗ったのが何年前が最後か思い出せない。工事が一区切り付いたと言われる横浜駅も未見。外出は車。

TVはBSの映画/Concert/Documentary番組しか見ず、地Digiは無縁。Amazon Prime VideoやNetflexもNO。そうした仙人のような日々を送っていれば、世間の常識から大きく外れてしまう。従って世間話が大の苦手。それでも本さえあれば退屈することはない。既に世界を2周半し、日本国内も3周目に入ったところ。「どこでもドア」並みに世界中を駆け巡っている。

現在、本の上では出羽国にいて美人の系譜について調べている。雪国の所為か、水や食べ物の所為か。或いは、古代に於ける北方民族との交流によるものか。また、最近話題になった「アイヌの熊まつり」と「西シベリアの熊まつり」との類似性が気になる。

猿田彦 (2020.09.05)

「猿田彦」と言っても神話に出てくる神様ではなく「猿田彦珈琲監修のCoffee Base」のことである。この商品を知ったのは半年程前。数ある Ice Coffee の中でも自然の風味が損なわれず、特に牛乳で割った時の滑らかさは「お気に入り度 No,1」となり、以来他社のIce Coffeeとは縁が切れてしまった。

同Coffeeには「無糖」と「甘さひかえめ」の二種類がある。 前者は少し甘味量を入れたくなる。(我が家では砂糖ではなくCalory Zeroの自然派甘味料「ラカントS」を使っている) 後者は自分には甘すぎる。そこであれこれ試した結果、両者を半々に混ぜることにした。

8月からの猛暑には参る。自ずと冷たい飲物を欲する。冷水/冷茶/麦茶/冷Coffeeを取り混ぜて一日に何回も飲む。その内 「猿田彦+牛乳+氷」 は最低3回。すると今度は牛乳を選ぶようになった。牛乳店から週2回配達される森永乳業の「成分無調整牛乳」では足りなくなった時、偶々Conveniで明治乳業の「おいしい牛乳」を求めたところ、どうもこの方が自分の好みに合ったからだ。他にも何社かの製品を試したがどれも今一つ。牛乳店とは長年の付き合いがあり止める訳には行かず、森永と明治を併用することに。

現在 330 mlのGlassに
 Blendした猿田彦 40 ml + 牛乳 160 ml + 氷 100 ml 相当
を混ぜている。猿田彦のお奨め割合は「1:5」だが、氷が溶けると薄くなるので調合時は「1:4」にしている。もし、猿田彦未経験の方が居られたら是非お試しを。

さてさて、前に別頁で述べた「ぷち水害」はこの猿田彦が原因である。机の端に置いたTray上のGlassに手が触れてお零ししたのである。だからと言って、猿田彦をNGにすることはできず、充分注意する他はない。
二種の猿田彦
計量器
明治/森永の牛乳Pack
揚げ菓子の雨 (2020.11.04)

久し振りに世界の民話から笑話を一つ。今回はスペインに伝わる話です。

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 ある日、賢いマリアは夫の愚か者フアンに羊を連れて水飲み場に行くように言いつけた。フアンはそこでお金のたくさん入った財布を拾った。お金を何枚か拾って残りはその場所に置いておいた。家に帰って妻に言った。
 「おい、お前、このとっても綺麗な丸い物をみてごらんよ。わしが水飲み場で見つけたんだぞ。」
 賢いマリアはお金を見て、夫に「あんた、どこで見つけたんだね」と尋ねた。
 「あそこの水飲み場で見つけたんだよ。もっとたくさんあるよ。」
 妻は行ってたくさんお金を拾ってきた。そしてその晩に、家畜小屋にいるロバが、妻の置いておいた二本のローソクの前でいななき始めた。妻はそれから屋根に上がって、そこから揚げ菓子を撒いた。夫はそれが天から降ってきたものだと思って、みんな食べてしまった。
 次の日、愚か者フアンはまた羊を連れて水飲み場へ行った。すると財布をなくした人たちがそこに来ていた。そしてフアンにお金の入った財布を知らないかと尋ねた。フアンは「知ってるよ。わしが見つけたよ」と言い、その人たちに、「マリアの所に行けば、返してあげるよ」と言った。
 人々はフアンと一緒に賢いマリアの所に来て、お金の入った財布を持っているというのはほんとうかと尋ねた。マリアは「そんな物は知りません、何も拾っていません」と答えた。すると愚か者ファンは妻に言った。
 「わしらは見つけたじゃないか。覚えていないのかい。そら、あの日だよ、揚げ菓子が空から降ってきて、ロバがミサを歌っていた日だよ。」
 男たちはその言葉を聞いて、言った。
 「ああ、奥さん、この方は頭がお弱い方だったんですね。」
 そうしてもう財布を返してもらうことは諦め、その代わりに、哀れんで、もう四ドゥーロのお金をマリアに与えて帰って行ったそうだ、
                         (セゴビア州エスカローナにて採集)

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 岩波文庫 エスピノーサ 「スペイン民話集」 三原幸久編訳 から

聖ジュゼッペの信者 (2020.11.08)

前節に続き、今度は北イタリアのヴェローナに伝わる笑話を一つ。
 (聖ジュゼッペ = 聖ヨゼフ、聖ピエートロ = 聖ペテロ)

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 むかし、聖ジュゼッペ一辺倒の熱烈な信者がいた。聖ジュゼッペに、ありとあらゆる祈りを捧げ、聖ジュゼッペに蝋燭をともし、聖ジュゼッペに寄進し、要するに、聖ジュゼッペのほかには、見向きもしなかった。やがて、死の日がやって来て、天国の門番である聖ピエートロの前に進み出た。だが、聖ピエートロは門の中へ入れようとしなかった。何しろ、この男が生前にした善行といえば、聖ジュゼッペのために祈りを捧げたことだけであったから。そのほかに、善行らしきものは、いっさいなかった。キリストも、聖母も、他の聖者たちも、この男にとっては存在しないも同然であった。
 「折角ここまで来たのだから」と、聖ジュゼッペの信者が言った。 「せめて一目なりと、あの方に会わせていただきたい」
 それで聖ピエートロは聖ジュゼッペを迎えにやらせた。 聖ジュゼッペがやって来て、その信者の顔を見るなり、言った。「よく来たな。おまえを、わたしたちの仲間に入れてやるぞ。さあ、なかへ入ってこい」
 「入れません。あの方が、入れてくれないのです」
 「それはまた、なぜ?」
 「わたしがあなたさまにばかりお祈りをして、ほかの聖者たちに見向きもしなかったからなのです」
 「何だ、そんなことか。構うものか。いいから、入ってこい」
 しかし聖ピエートロは頑として入れようとしなかった。そこで大喧嘩がはじまった。しまいに、聖ジュゼッペが聖ピエートロに言った。
 「ああ、ならばよい。その男をなかへ入れるか、さもなくば、わたしが女房と子供を連れて、天国などおさらばして、どこか別のところへ出ていってやる」
 聖ジュゼッペの女房というのは聖母マリアであり、その子供というのは、もちろん、わたしたちの主キリストのことだ。それゆえ、さすがの聖ピエートロもそこは譲って、聖ジュゼッペの信者を天国へ入れてやったほうがよいだろうと思った。

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 岩波文庫 カリヴィーノ 「イタリア民話集 上」 河島英昭編訳 から

Shikuwasa (2020.12.07)

最近のパンは食パンも菓子パンも味が良い。近所のパン屋さんは昼過ぎには売り切れるほど人気がある。食べ方は人それぞれお好み次第。自分はこれまで食パンはトーストやサンドイッチにしたものだが、最近は焼かずにジャムを付けて頂くことが多い。

そうなるとジャムに凝り出す。ジャムは並み品と上級品との味の差が大きく、高々二倍程度の価格差にも関わらず、満足度は三倍から五倍の差はあろうか。 イチゴ/リンゴ/アンズ/ブルーベリー/ラフランス/白桃等々、全国各地に美味しいジャムが溢れている。そこで、ここ数年北から南まで満遍なく買い求めた中で飛び抜けて気に入ったジャムを紹介したい。
 沖縄産 贅沢ジャム
 【シークヮーサー】

沖縄産のジャムはシークヮーサーの他にパイナップル/カンタン/紅いも等がある。
自分は断然シークヮーサーがお気に入り。ほど良い酸味がパンと良く調和する。定期的に5個まとめ買いをしている。(\3,580 送料込)
Wikiによれば・・・シークヮーサー(和名:ヒラミレモン(平実檸檬)、学名:Citrus depressa、台湾語:酸桔仔 sng-kiat-a ) は、ミカン科の常緑低木、柑橘類。日本語の沖縄方言で「シー」は「酢」、「クヮースン」は「食わせる」の意味で、「シークヮーサー」という名称は「酸食わし」「酢食わし」という意味になる・・・とある。

また「シークヮーサー / 効能」で検索すれば、多くの人は 「それなら試して見ようか」 となること請け合い。

Kibikibi (2020.12.24)

PCの動きの良さを示す表現として 「Sakusaku」 が用いられる例がある。けれどもその言回しは 「氷あずき」 の食感に似て快適性とは別の印象を抱く。寧ろ 「爽やかさ」 か。ならば 「Nurunuru」 はどうか、これも難渋な動きに感じられ快適性とは受け止めにくい。矢張り 「Kibikibi」 の方が相応しく思われる。 では、その 「Kibikibi感」 に影響を与える要素は何か。

現在手持ちのCPUの中で 「Kibikibi」 感じられる例を上げれば、
  Intel Coffeelake i7 8700K / Intel Coffeelake i5 9600
の二つがあげられる。
  Intel Cometlake i7 10700 / AMD Ryzen 7 3700X
は、上の二つにやや及ばない。何故そうなのか。考えられる要素は
 【CinebenchR15 singe値】 【CPU Base Frequency】 【Super PI 104万桁】
そこで、4CPUのDataを表にした。

Kibikibi
Base
Clock
Turbo
Clock
Super PI
104万桁
Cinebench
R15 singe値
Intel Coffeelake i7 8700K
3.7GHz
4.7GHz
8sec.
202cb
Intel Coffeelake i5 9600
3.1GHz
4.6GHz
8sec.
201cb
Intel Cometlake i7 10700
2.9GHz
4.8GHz
7sec.
209cb
AMD Ryzen 7 3700X
3.6GHz
4.4GHz
11sec.
206cb

 ・i7 8700KはBase Clockが最も高くKibikibi感じられる。
 ・i7 10700はCinebenchやTurbo Clockは最高値ながら、Base Clockが低く、
  Kibikibi感はi7 8700Kに較べてやや劣る。
 ・i5 9600は i7 8700Kと i7 10700の中間的な印象。
 ・R7 3700XはSuper PIの値が著しく劣り、Kibikibi感は今一つ冴えない。
つまり、Kibikibi感に影響を与える3要素が程良くBalanceしていることが、結果に結びつくものと考えられ、Cinebench single値だけでは不充分と言えそう。そこで、
 【CinebenchR15 singe値】 200cb以上であること。
 【CPU Base Frequency】 3GHz以上であること
 【Super PI 104万桁】 8sec.以下であること。
とすれば、概ねKibikibi感は満足されよう。

ところが、AMD Zen3 Seriesは、そのSuper PIの値が大幅に向上したとの報があり、少々気になるところ。

令和辛丑年 (2021.01.06)

世界中がCorona禍により大きな影響を受けている。一部の国ではVaccineの接種が始まったと伝えられるが、どの程度の効果が得られるが未知数の段階である。

けれども個人的には、昨年はそう悪い年ではなかった。
 ・外科手術に対する入院給付金が得られた。これが結構高額。
 ・これまで年金は受け取っていなかったが、基礎年金分は65歳に遡り一括給付
  されることになった。
 ・このところの世界的な株高により、投資信託に預けた資金に○○%もの利益が
  生まれた。
そんなこんなで多少小遣いが増えたとは言え、旅行にもConcertにも行けず、精々本やCDを買い漁るのが関の山である。

では、我がPC-Lifeはどうなるか。これもまた特に変化はなさそう。
 ・Energy消費の低減が叫ばれる現今、PCの省電力志向は時代の趨勢であり、
  小型静音低発熱PC路線を継続する。
 ・Hi-Fi PCを究める。
 ・暫く遠ざかっているPC-Caseの自作を再開したい。

どう考えても 「稔り多き年」 になる見通しは立たず、只管我慢の年になりそう。
まあ、牛歩でも良いから少しは前に踏み出したいところ。
緊急宣言が解除されたら 「牛に引かれて善光寺参り」 も善き哉。

小石い貝りたい (2021.01.16)

新潟県北蒲原郡豊浦町切梅に伝わる民話を一つ。
 表題は 「小石と木折れのたより」

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あったとさ。
ある村に、若夫婦が住んでいた。あるとき、わずかの思いちがいで、けんかした。
あんにゃさが、
「お前みたいな女、こげんなおなご、嫁にもろて、おおごとしたわ」
あねさは、
「おれもそうだ。お前さんみたいな、色のまっ黒い、鼻の低い、こげんな男のどこへ、
嫁にきて。おれ、出ていぐわ」
というて、さっさと、出て帰ってしもた。

それから、三日もたつと、あねさはあんにゃさのとこへ帰りたくて、どうしようも
ねえかった。
「あんな、ばちあたりのこというて、うちを出てきたども」
と思って、字を知らんどもに、たよりやった。紙の袋に、小石をたくさんいれ、
貝がらもたくさんいれてやった。

あんにゃさ、それを見て、
「何だ、これ、恋しい(小石)、かえりたい(貝)、なんていうて」
と、すぐに、あんにゃさが恋しい、かえりたいというのがわかった。
そうしたら、あんにゃは、木の小枝をこまかに折ったのを、その袋にいれてやった。
あねさが、それを見て、
「あ、これはきおれ(木折れ)、きおれで、おらにかえってこいてがだ」
と、すぐにわかった。そして、あねさ、うちへ帰って、仲よく暮らした。

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 未来社刊 日本の民話70 「越後の民話」 第二集から

大根人参牛蒡 (2021.02.13)

富山県射水郡に伝わる、たわいもない話です。
 表題は「大根と人参と牛蒡」

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 むかし、むかし、あるところで、
大根と人参と牛蒡が三人で風呂へはいりに行きました。

 風呂へはいると、大根はゴシゴシとからだをこすりつけて、
あかをみな落としましたので、あんなに白くなってしまいましたとぉ。

 人参は、どれだけでも長い間がまんして風呂にはいっていましたので、
とうとうからだがあかくなってしまいましたとぉ。

 牛蒡はまた、洗うでもなく、洗わんでもなしに、ただよいかげんにして
風呂からあがったので、あんなにからだが黒くなってしまいましたとぉ。

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 未来社刊 日本の民話35 「越中の民話」 第一集から
 (同種の話は江戸小話を始め全国各地に伝わっています)

星 新一 (2021.03.05)

さて、
  2月:10、1月:12、12月:19、11月:29、10月:38、9月:23
何の数字か。答えは、ここ半年のSiteup回数である。昨年の10月をPeakに月毎の減少は著しく、2月の10回は最近希に見る低調振りである。その理由は、
 ・Intel新CPUの発売が遅れた。
 ・AMDのCPUは在庫切れが続いている。
 ・Video CardはGamer用の高額Cardばかりで、廉価Cardの新製品は見当たらない。
 ・10G LANは今一つ盛り上がらない。
 ・SSDの値下がりも一休みか。
 ・Mini-ITX M/Bの発売が激減した。
等々、Siteupする話題に事欠き、我が家のPC-Lifeは低調を極め、一頃の1/2~1/3に激減してしまった。では、その間何をしていたか。

持て余した時間は専ら読書に当てた。但し、このところ視力の衰えは著しく、活字の小さな文庫本は避けて単行本を買い求めた。それも特大活字の「星新一全集」合計35冊。

   星新一ショートショートセレクション 全15巻
ねらわれた星 さもないと
宇宙のネロ 重要な任務
ねむりウサギ ピーターパンの島
奇妙な旅行 盗賊会社
番号をどうぞ クリスマスイブの出来事
頭の大きなロボット ボタン星からの贈り物
未来人の家 宇宙の男たち
夜の山道で
   星新一YAセレクション 全10巻
死体ばんざい あるスパイの物語
殺し屋ですのよ 妄想銀行
ゆきとどいた生活 不吉な地点
夜の侵入者 きつね小僧
あいつが来る うらめしや
   星新一ちょっと長めのショートショート 全10巻
宇宙のあいさつ ねずみ小僧六世
恋がいっぱい そして、だれも…
悪魔のささやき 長生き競争
とんとん拍子 親友のたのみ
おのぞみの結末 七人の犯罪者

星新一の著作は、その昔読み耽った時代があり、読み進める内に少しずつ思い出された。けれども、2001年以来、世界中で想像もつかない出来事が次々に起こる時代にあっては、当時の印象とは異なり、どんでん返しの意外性は大夫薄らいだ。寧ろ今回は、結末に至るProcessの楽しさを味わった。「生類憐れみの令」や「西洋童話の主人公総出演」を題材とした少し長めの作品は秀逸。けれども問題大あり。35冊の単行本を30日で読み終えてしまったのだ。この後どうするか・・・

Sweden (2021.04.06)

このところ立て続けにPCを仕立てたので、少し間を空けて、頭を理科から文科に切り替えよう。寄る年波、なるべく脳の各部分を満遍なく使った方が良さそうなので。

と言うことで、Swedenの民話を一席。
 題名 : 悲しみのあまりに

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 昔ある母親が、一人っ子に先立たれてしまいました。そのため、悲しみに泣きくれて、誰からの慰めや言葉も聞き入れようとはしませんでした。打ちひしがれ、悲嘆にくれました。 この心をいやそうと、花の咲く緑の草原へ出かけました。 すると白い服をまとった一群の子供たちがいるのに気づきました。 子供たちは歌を歌ったり、踊りを踊ったり、遊んだりしていましたが、その中に白い服を着た自分の子もいるのが見えました。とても困った表情をして、悲しそうにうなだれ、手には水差しを携えていました。母親は、なぜ他の子供たちのように歌ったり踊ったりせずに、そんなに沈んでいるのかと尋ねました。するとその子は、「お母さん、お母さんがそんなに嘆き悲しんでいる限りは、私も泣き悲しむ事しかできません。お母さんの流した涙すべてが、この水差しの中に入っているのです。この涙を見ると、私も悲しくなり悩み苦しまなければなりません。だから、お母さん、今ここにある天国の喜びを、どうぞ私に授けてください。私も歌ったり踊ったりできるように、もう私の事で泣かないでください。」 と答えるや、たちまちすべての光景が消えてしまいました。 (ペートル・マグニ・イュッレーニウス記による)

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 書名 : 世界の怪奇民話 5 スウェーデンの怪奇民話
 訳者 : 清水 育男 評論社刊

語彙と記憶力 (2021.05.15)

5月1日が 「語彙の日 (2007/03/05登録)」 であることを知ったのは、つい先日のこと。最近のPortal Siteでは 「この漢字読める?」的な記事が多い。日本語の文章作成をKeyboardで行い、語句の検索も簡単な時代にあっては、日本語入力変換の際に現れる見慣れぬ漢字を使ってみたくなるものである。当用漢字の遵守や誰が決めたかよく判らない慣用的な熟語表現に不満をもつ者にとっては、できる限り漢字を自由に使いたい。

日頃、古文や漢文を扱っていることから、我がATOKの辞書はそうした語句が選択肢の上位に現れる例が多く、ついそのまま採用してしまう。例えば、
 【あちこち】 彼方此方
 【あわせて】 併せて
 【いわゆる】 所謂
 【こしらえる】 拵える
 【しかし】 然し
 【しっかり】 確り
 【まちまち】 区々
 【まとめる】 纏める
 【まばら】 疎ら
 【~か】 ~歟
 【~のせい】 ~の所為
 【~ばかり】 ~許り

一般的に、平仮名より漢字の方が専有byte数が少なくて済むことから速読向きであり、今後益々増えるものと予想される。同様に片仮名英語よりalphabet表記の方が少ないbyte数で済む例が多く、これからの横書日本語文は、平仮名片仮名を最小限に留めた「漢字Alphabet混交文」 が主流になるかも。

寄る年波、「一度聞けばすべて覚える」と豪語していた時代が嘘のように哀れな思いをしている。何かを知って3歩も歩いたらお終い、2歩止まりである。それでは話にならない。特に固有名詞は難物。覚えたと思っても一晩寝れば元の木阿弥。ならばどうするか。暗誦を繰返す他はない。努力の甲斐あって覚えた固有名詞は以下の通り。
 【地名】 Baltic States (バルト三国)
      Central Asian countries (中央アジア諸国)
      Former Yugoslav countries (旧ユーゴスラビア諸国)
      Latin American countries (中南米諸国)
 【人名】 Alina Ibragimova (アリーナ・イブラギモヴァ ) Violinist
      Dobrinka Tabakova (ドブリンカ・タバコワ) Composer
      Khatia Buniatishvili (カティア・ブニアティシヴィリ) Pianist
      Lisa Batiashvili (リサ・バティアシュヴィリ) Violinist
      Selma Lagerlef (セルマ・ラーゲルレーヴ) Nobel Prize Writer
 ・Africa諸国の国名と地図上の位置についてはこれから。
 ・こうした努力がぼけ防止の役に立つかどうか・・・

会計監査 (2021.06.12)

6月11日、会計監査があった。 年度始めには、Coronaの影響から今年の赤字はどの程度かと心配されたが、終わってみれば僅かに増益となり、胸を撫で下ろしたところ。 確かに収入は減ったのだが、研修費/交際費/厚生費/残業手当/Event経費等が大幅に減り、思わぬ結果となった次第である。

担当税理士の話に依れば、こうした傾向は我が家だけではなく、かなり多くの事業者に共通するとのこと。このご時世「我が社は増収増益」などとは言えず、減収減益のところ許りが取り上げられ、どうも実態を掴み損ねていたのかも知れない。外食/旅行/交通/舞台関係以外は真っ当なところが多く、Corona後の経済回復は案外早そうに思えるのだが、楽観は禁物か。

ところで、Vaccine接種の件、先日かかりつけ医から電話があり、次回の診察予定日に行うとのこと。予約で右往左往することなく有り難い話。

J.S.Bach vs T.Bach (2021.07.18)

Johann Sebastian Bach, 1685/3/31生
Thomas Bach, 1953/12/29生。

二人には思わぬ共通点がある。即ち 300万円 である。
或る情報に依れば、「J.S.Bachの年収は300万円。11男9女をもうけた貧乏公務員。
生活は苦しく、命綱は葬儀の伴奏での臨時収入であった」と伝えられる。
一方、T.Bachは一泊300万円の宿舎を利用するとか。

J.S.Bachは後年"音楽の父"として偉大なる尊崇を受けている。Bachとは「小川」の意。J.S.Bachの収入状況は小川であっても生涯の成果は大河となった。T.Bachはどうか、見通しは暗い・・・
映画 Joao, O Maestro (邦題:マイ・バッハ 不屈のピアニスト)を観た。その中に面白い場面があった。主人公のPianist Joao Carlos Martins (ジョアン・カルロス・マルティンス)が或る宿舎に滞在中、燐人が管理人の申し出を伝えにやってきた。その前に練習用鍵盤のType音が煩いとの苦情を受けていたので、本人は Pianoの音に対する抗議に違いないと受け取った。ところが 「どうか窓を開けてPianoを弾いてください。もっと良く聞こえるように」と。響き渡る音楽は J.S.Bach。

側室360人 (2021.10.02)

本Siteは、引用文を除き片仮名を使わない方針であるが、今回はその制限を緩めることにした。 本節で述べるペルシャの固有名詞を原語で表記をすると、古ペルシャ語や古ギリシャ語になり、より一層混乱する恐れがあるからである。

さて、現在読書の上ではペルシャに居る。ペルシャと言えば、ペルシャ猫/ペルシャ絨毯/ペルシャ湾等は日常的に見聞きするが、ペルシャ帝国となると、そう滅多に出会さない。自分で調べる気にならなければ、通り過ぎて行く事柄の一つとなろう。

Web上ではペルシャ帝国とは、「一般的にはアケメネス朝・アルサケス朝・サーサーン朝に対する総称である・・」とされる。
 【アケメネス朝】 BC550~BC330 キュロス2世を始祖とする王朝。
 【アルサケス朝】 BC248~AD226 アルサケス1世を始祖とする王朝。
 【サーサーン朝】 AD224~AD651 アルダシール1世を始祖とする王朝。
歴史家によっては、ペルシャ帝国とはペルシャの地 (イラン高原の南西部にあるペルシャ州) にペルシャ人が打ち立てた王朝とし、パルティア系のアルサケス朝を外し、アケメネス朝とサーサーン朝の2王朝とする場合もある。

と意気込んで読み始めたところ、人名地名役職名などの片仮名表記に難渋している。 その数が多いだけではなく、前述の通り古ペルシャ語や古ギリシャ語が入り交じり、少しでも注意を怠ると 「ここは何処、あなたは誰」 状態になり、読み進めることが難しくなるからである。昔、海外の書籍を読む時は読書ノートをつくり、地名を地図に落とし、人名を書き出して関係図をつくっていた頃と同様の努力をしなければ、とても理解は深まらないことを改めて思い知らされた。けれども、そう硬いことを言わなくとも興味深い内容に溢れているので、抜き読みだけでも結構楽しめるのもまた事実である。

その最たるものが「側室360人」である。トルコのスルタンも大層なハーレムに数多くの側室を侍らせていたが、流石に360人は凄い。中国の後宮、日本の大奥、他国の同等施設の詳しい状況を知らないので何とも言えないが、少なくとも自分の知る限りでは最大の人数である。

その昔、国を治める王や族長の条件が、「神あるいは天によって選ばれたる者」と考えられていたとすれば、その一族の血統は重要視され、直系の子孫に継がれるよう最大限の努力をしたであろうことは容易に理解できる。

けれども、側室が多くなれば悩みも深くなる。アケメネス朝ペルシャ王として、BC404~BC360まで44年間在位したアルタクシャサ2世は、生涯に360人の側室を抱え、男子を115人儲けたとされる。当然、後継者問題は熾烈を極めたものと思われるが、そうではなく、アルタクシャサ2世を継いだアルタクシャサ3世はこれを一気に解決したと伝えられる。つまり、異母兄弟100名以上を大量虐殺し、一人も対立候補が生き残らないように手を打ったのである。序に、従兄弟などの王族に加え、大王位の継承権のない姉妹達まで皆殺しにしてしまったとか。

アルタクシャサ3世は歴代大王の中でも不人気ながら22年間在位した。大量虐殺の報いは、アルタクシャサ3世の死後にやって来た。後継問題でクーデターが起こり、末子のアルシャカがアルタクシャサ4世として大王に収まったが、やがて家臣に一家もろとも暗殺されたと伝えられる。

その2年後、マケドニア王アレクサンダーとの戦いに敗れ、アケメネス朝は幕を閉じた。(参考文献「ペルシャ帝国」青木健著)

6300億円の娘 (2021.10.13)

10月11.12.13日は通院三連荘。
 ・11日は歯科の定期Cleaning日
 ・12日は外科でCT検査
 ・13日は内科の定期診断日
中でもCT検査日は待ち時間が長い。検査前に点滴を受けるのだが凡そ2時間かかる。その間何もせずじっとしているのは相当な苦痛。本を読むしかない。持ち込んだ本は「古代メソポタミア全史 小林登志子著 中央公論社刊」 なるメソポタミア入門書である。文章自体は平易だが、固有名詞の読み難さに四苦八苦した。けれども少し我慢をすれば面白いエピソードに巡り会える。

先ずアマルナ文書について。
「エジプト中部のナイル川東岸アマルナで発見された楔形文字の書かれた粘土板文書。アマルナ文書の多くは、エジプト 第18王朝のファラオであったアメンヘテプ4世の時代 (在位: 紀元前1353年 ?頃~ 紀元前1336年 ?頃) の外交政策と国際関係を示した史料で、紀元前14世紀の古代オリエントを知るための重要な情報源のひとつとされる」

そのアマルナ文書の中に、バビロン王カダシュマン・エンリルがエジプト王アメンへテブに宛てた手紙があり、両王家間の縁組や贈答品について書かれている。
バビロン王カダシュマン・エンリルの父王クリガルス1世がエジプト王家に嫁がせた娘、つまり、カダシュマン・エンリルの姉妹の消息を尋ねると同時に、エジプトの王女を妻に求めたのだが、エジプト王アメンへテブの返事は 「昔からエジプト王の娘は外国に嫁がせない」 であった。そこでカダシュマン・エンリルは、「誰の娘でも、王の娘であるような美しい娘を送って欲しい」と伝えたが、結局叶わなかった。仕方なく別の条件を示した。
  もし私 (バビロン王カダシュマン・エンリル) が要求した黄金を送ってくれるなら、
  私はあなた (エジプト王アメンへテブ) に娘を与えるだろう・・・

さて、その要求した黄金の量は3000ビルトゥ (1ビルトゥ=30kg) と莫大であった。 それでもエジプト王は承諾した。つまり、
  美しい娘 = 黄金3000ビルトゥ = 黄金 90,000Kg
  黄金1g = 7000円とすると、黄金 90,000Kg = 6300億円
  即ち、バビロン王の娘 = 6300億円也

幾ら何でも、娘1人の対価が黄金90,0000Kgはないだろう、と考えるのが真っ当に思われるが、ところがどっこい、どうも実際にエジプトからバビロニアに相当量の黄金が贈られたようである。その結果、銀が秤量貨幣として使われていたバビロニアで、一時的ではあったが、金が秤量貨幣に使われたことから、強ち誇張ではなかった・・・

写字生 (2021.11.23)

今日は趣を変えて、写字生 (しゃじせい) のお話しを。
写字室という言葉は、アイルランドのアニメ映画「ブレンダンとケルズの秘密」に出てきた。写字生はアイルランドの民話集「数奇なアイルランドのおとぎ話」で知った。
  或る修道院の修道士 = 写字生:アイド
  アイドの相棒:バングル

写字生ってどんな人?

[アイド] 一言で言えば、修道院が持っている本を作る人じゃな。
  わしらにとって、本は大事な財産です。子牛や羊の皮をなめして
  作った紙に、挿絵や字を全部手書きしていくからね。
  一冊できあがるのに何年もかかったりすることがよくあるよ。

[バングル] よほどの金持ちでも、本なんて普通は持ってないよね。
  王様とかご領主様ならともかく、それだって二十冊もあればたいしたもんだ。

[アイド] そうそう、しかも写字生によって字や絵のうまい・へたがあるし、
  縁飾りや色のセンスも大事じゃね。紙も絵の具もなにしろ高価で無駄には
  できんし、よくできた本は余計に貴重品だ。
  だから、いい写字生は引っ張りだこで、遠い国の修道院からもお呼びがかかり、
  傷んだ本の修理を頼まれることもある。おかげさまで、わしも若い頃は、
  ドイツなど、いろんな国へ旅したもんだよ。

[バングル] それでね、本には大敵が二つある。カビとネズミさ。
  特にネズミのやつらは、値うちなんて分からないから、上等なおいしい皮で
  できた本は狙われやすい。そこで俺様の出番というわけ。

[アイド] その通り。ネズミとりのうまい猫は、どこの修道院でも宝ものじゃよ。

はい、写字生アイドの相棒であるバングルは白い猫のこと → バン猫 → 番猫か。

映画 「ブレンダンとケルズの秘密」 には、
  写字生見習いの少年ブレンダンと白猫パンガ・ボンが登場する。
  映画の中でパンガ・ボンがねずみ取りをする場面はなかったが、
  本の見張り番として描かれていた。
【ケルズの書】 聖書の手写本

← 原本の写真。写字生が8世紀に作成した 「ケルズの書」 は、アイルランドの国宝に指定され、世界一美しい本と言われる。
← 映画 「ブレンダンとケルズの秘密」 で用いられた 「ケルズの書」 の複製本。
まいんちゃん (2021.11.26)

11月25日、まいんちゃん = 福原 遥さんが来秋NHK朝ドラの主役に決まった。Web上には好意的な反響が溢れている。

自分がまいんちゃんを知ったのは、2010年に発行された
  Ubuntu Magazine Vol.04
による。当時、Ubuntu Magazineの表紙はロリコン路線に奔っていた。中でも彼女は飛切りの可愛さだった。もし、Ubuntuに興味がなければ知らずにいたかも知れない。

けれども、注目した理由はそれだけではない。身近にそっくりさんがいたからだ。
我が家では女子高生女子大生のアルバイトを使っているが、何故か才色兼備のお嬢さんばかりで、その後みな幸せな人生を歩んでいる。
大学教授 / 医師 / 歯科医師 / 薬剤師 / 劇団員 / モデル / プロ野球選手の伴侶・・

そのまいんちゃんそっくりさんは、その後、某大学の大学院を卒業し、現在は応用化学の教授に就いている。毎年正月に、同じく大学教授の夫 + 子供2名を連れてやって来るのを楽しみにしている。彼女は高校生の時から化学の道に進むことを決めていたので、自分が大学時代に使っていた化学や解析概論の教科書を譲り、大いに励ました記憶がある。

2010年発行 Ubuntu Magazine Vol.04

来秋、まいんちゃんが毎朝登場するとなれば
見ずにはいられない。「おしん」以来のこと。
山賊のむすめローニャ (2021.12.08)

スウェーデンの児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンの伝記映画「リンドグレーン」を観た。当然、作品が気になる。「山賊のむすめローニャ」を入手し一気に読んだ。

全篇に亘り、人物描写や自然描写など丁寧に描かれている。けれども、どこか冗長なところがあり、今時の子供にはどうかと思わせる語り口ながら、ローニャの冒険と成長ぶりは楽しさに溢れている。何より、作者の用いる言葉と理屈は独特で、思わず吹き出してしまう。

では、山賊のかしら マッティスが、初めて森へ遊びに出かける娘のローニャに与えた忠告を抜き書きしよう。
  父親:山賊のかしら マッティス、一人娘:ローニャ

「怪し鳥と、灰色こびとと、ポルカ山賊に気をつけるんだぞ」
「どれが怪し鳥で、どれが灰色こびとで、どれがポルカ山賊か、どうしたらわかるの?」
とローニャはたずねた。
「そりゃあ、見ればわかる」
「うん、わかった」
「それから、森で道に迷わないように気をつけるんだぞ」
「道に迷ったら、どうすればいいの?」
「正しい道をさがすんだ」
「うん、わかった」
「それから、川に落ちないように気をつけるんだぞ」
「川に落ちたら、どうすればいいの?」
「およぐんだ」
「うん、わかった」  ・・・

  【山賊のむすめローニャ】
  アストリッド・リンドグレーン 作、イロン・ヴィークランド 絵
  ヘレンハメル美穂 訳、岩波書店 刊

次は 「長くつ下のピッピ」 を読もうか・・・

大活字本 (2021.12.25)

今回は読書自慢です。年寄りの戯れ言など真っ平だと思われる方は通過して下さい。

前節の「山賊のむすめローニャ」に続き、スウェーデンの児童文学作家 アストリッド・リンドグレーンの作品を9冊読んだ。
 リンドグレーン・コレクション 岩波書店
 ① 長くつ下のピッピ シリーズ 1.2.3
 ② やかまし村 シリーズ 1.2.3
 ③ 名探偵カッレ シリーズ 1.2.3
①は9歳の女の子、②は小学生の少年少女6名、③は中学生の少年少女6名が活躍する。平易な文章で一気に読み終えてしまうが、内容は本格的で大人でも充分楽しめる。

抑も喜寿間近の年寄りが、何故そうした本を読むのか。答えは一つ。活字が大きいからである。長年活字中毒に冒されているので本がなければ夜も日も明けない。視力の衰えから小さな活字は避け、なるべく大きな活字の本を選ぶようになり、そうした児童書類に興味が湧いてきたのである。自分は子供のころ児童文学とは縁が薄かったせいか、この期に及んでその埋め合わせをしているかのようである。

そうかと言って、毎日子供向けの本ばかり読んでいる訳ではない。この一月に購入した書籍は以下の通り。気の向くまま、手当たり次第に選んでいる。(購入順)
 01 我と汝 マルティン・ブーバー (講談社学術文庫)
 02 王昭君 (講談社 )
 03 ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫)
 04 砂漠と草原の遺宝 中央アジアの文化と歴史 (講談社学術文庫)
 05 アイヌ文化の基礎知識 (草風館)
 06 イギリス伝説紀行―巨人、魔女、妖精たち (松柏社)
 07 気候変動から読みなおす日本史 (臨川書店)
 08 インダス文明の謎: 古代文明神話を見直す (京都大学学術出版会)
 09 語りつぐ人びと インドの民話 (福音館文庫)
 10 北条氏と三浦氏 (2) (対決の東国史 2) (吉川弘文館)
 11 交通史研究 99 (交通史学会 )
 12 中世かわらけ物語 もっとも身近な日用品の考古学 (吉川弘文館)

自分は、王朝の交替や武将達の活躍より、被支配層の暮らし振りに興味があるのだが、一般的な歴史書にはそうした情報は少なく、寧ろ、考古学/民俗学/神話/昔話/民間伝承/衣食住の変遷/気候や災害の歴史書にこそ、求める情報が含まれているのではないかと考えている。従って、大活字本と中活字本を適度に織り交ぜながら日々過ごしているのである・・・

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