HTPC II

HTPC I が長くなったので、続編を起こした。 (2023.06.28)

かもめ (2023.06.28)

「かもめ」と聞いて何を思い浮かべるか。
 【鳥のカモメ】 多くの人はそう思うでしょう
 【チェホフの戯曲かもめ】 文学愛好家
 【かもめパン】 横浜在住者

今回のかもめは違う。「映画 必殺始末人」の女始末人 "かもめ" なのだ。

6月22日にWOWOWで放送された 「映画 必殺始末人」 を観た。
主演の田原俊彦は終始苦み走った顔が印象的ではあったが、全篇同じ表情で全く変化がないのはどうしたことか。その点、南野陽子さん演じる"かもめ"は、喜怒哀楽が判り易く好感が持てた。

昔からお気に入りの女優さん。山田太一脚本の連続ドラマ「時にはいっしょに」は欠かさず観た覚えがある。同ドラマは1986年秋。「スケバン刑事」が流行っていた頃。目がくりっとして愛らしく、アイドルとして人気は高かった。 我が家の中年職員は彼女の写真を100枚以上集めたとか。
「映画 必殺始末人」1997年
南野陽子さん

表家業は水芸の弁士
女始末人"かもめ"の真骨頂
俺の悪夢 (2023.09.22)

 「Swanは俺の悪夢を映画にしている」
 「俺が毎晩見る夢を盗むんだ」
 「俺のIdeaだ」
 「俺のIdeaを映画にして有名になりやがった」
 「許せない奴だ」
 「償わせる」
 「仕返しに"死亡予想"を盗んでやった」
 「予想どおりにしてやる」
 「また有名になるさ」

以上は、映画 Dirty Harry 5 の終盤、犯人がReporterに語った台詞。
これ、どこかで聞いたことのある内容です。そう"あれ"です。

「Dirty Harry 1 (1971)」 身代金を要求する無差別殺人犯
「Dirty Harry 2 (1973)」 証拠不十分で放免された極悪人を始末する警察官達
「Dirty Harry 3 (1976)」 人民革命攻撃隊を名乗る武装強盗団
「Dirty Harry 4 (1983)」 学生時代に集団暴行を受けた姉妹の姉が10年後に復讐
「Dirty Harry 5 (1988)」 上述
Dirty Harry 5

映画のEndingに写し出された
桟橋に停泊中の船の名が
 "THE LOST SOUL"
上の5作品中、4の事例はあまり聞かないが、Dirty Harry は先駆的な作品なので、
いつか類似の事件が起こるかも。心当たりのある御仁は充分注意を。

Dark Movie (2023.12.03)

 「Dark Movie」 近年、映画のEro/Gro/Nonsense/Violence度は著しく増した。けれども、今回の論点は単に「画面が暗い件」についてである。Hollywood映画の画面が全般にDark調になったのはここ10年来か。

我が家では、映画はPowerDVDで見ている。Graphics DriverやPowerDVDの明度設定を固定しているため、映画の明暗がそのまま反映される。たとえ明度の制御を自動化しても大して代わり映えせず、手動で大幅に変更する必要がある。それがかなり面倒。

映画の画面が暗く感じるようになったのは、
 ・Star Wars - 8作目辺りから
 ・Harry Potter - 7作品のうち中頃から
 ・Rings - Hobbit Seriesから
 ・Fantastic Beasts Series - 2作目から
等々、2015年以降の作品に目立つ。上の作品中何作かは途中で視聴を止めた。

Web上で「映画の画面が暗い理由」を検索すると、撮影や映写の方式が変更され、画面全体が暗くなる例が増えたとされるが、どうも納得が行かない。そこで、画面が暗い理由を勘ぐると、

 ・画面を暗くすると遠/中/近景の細部が目立たなくなるため、大道具/小道具等に
  掛かる経費を相当節減できる。
  更に野外撮影を減らし屋内撮影で済ませることができる。
 ・出演者の衣装や化粧に掛かる手間隙を節減できる。
 ・過激な描写をし易くなる。
 ・その結果、撮影時間が短縮される。
 ・最近は、Hollywoodだけではなく日本をはじめ世界各国の映画もDark傾向。
  暗い映画は諸経費を減らし収益を増すための方策と考えられるが、暗過ぎて観る者
  が減れば返って減収になる可能性があると思うのだが。

映画の王国 (2024.05.09)

このところ録画本数がめっきり減った。1950年代から2010年代にかけての主要な映画は録り尽くした所為もあるが、最近の作品は興味の薄いものが多く録画しても直ぐに消して仕舞う例が多いからである。それでも根気よく探せば秀作に出合うことがある。

  ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう

映画のあらすじについてはWeb上に溢れているのでここでは省略し、気付いた点を述べることにしよう。

・この作品は通常の商業映画とは異なり、映画学校卒業制作作品とのこと。
 第71回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。
 監督はジョージア出身のアレクサンドレ・コベリゼ氏。
・何と言っても絵作りが素晴らしい。
 最初から最後まで作画に手を抜いたと思われる場面は一つもない。
 構図・採光・陰影等、静止画としても魅力に溢れている。
・映画は何の変哲もない小学校の下校風景から始まるが、子供たちの動きや表情を
 見るだけで引き込まれる。
・路上の水たまり、壊れかけた階段、投げ捨てられたタバコの吸い殻、
 木葉を咥える雀等々、直ぐに尋常な映画ではないことに気付く。
・やがて男女二人が出合う場面になるが、足下しか写さない。
・多くの場面は構図が固定され、カメラの振りやズーム操作は少ない。
 中景の小動物や遠景の人や車は、計算されたように動く。
 花・新緑の芽生え・堂々とした樹木等の映像は殊の外美しい。
・全体に台詞は少なく、動きの少ない画面を凝視することになる。
 それが150分続くので、人によっては途中で投げ出すかも知れない。
・音楽は古典から民族音楽まで違和感なく奏でられる。選曲は秀逸。
・ロシアのタルコフスキー監督やトルコのカプランオール監督の映画に
 興味がある人なら、この作品が同じ傾向であることに気付く。
 只管、芸術としての映画の可能性を追求した作品に思われる。
 そうした見方をすれば150分は長くない。
・それにしてもジョージアは凄い。映画の王国であることに異論を挟む余地はない。
 「とうもろこしの島」「聖なる泉の少女」「みかんの丘」「放浪の画家 ピロスマニ」等々。
主人公二人が初めて出合う場面
顔は写らず足だけ
登場する女性は
子供から大人までみな魅力的
風になびく女性の髪と
フジの若葉のハーモニー
映画では目を見張る場面
陰影の美しい画面は全篇に
溢れている
ジョージア文字は丸文字
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