このところ録画本数がめっきり減った。1950年代から2010年代にかけての主要な映画は録り尽くした所為もあるが、最近の作品は興味の薄いものが多く録画しても直ぐに消して仕舞う例が多いからである。それでも根気よく探せば秀作に出合うことがある。
ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう
映画のあらすじについてはWeb上に溢れているのでここでは省略し、気付いた点を述べることにしよう。
・この作品は通常の商業映画とは異なり、映画学校卒業制作作品とのこと。
第71回ベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。
監督はジョージア出身のアレクサンドレ・コベリゼ氏。
・何と言っても絵作りが素晴らしい。
最初から最後まで作画に手を抜いたと思われる場面は一つもない。
構図・採光・陰影等、静止画としても魅力に溢れている。
・映画は何の変哲もない小学校の下校風景から始まるが、子供たちの動きや表情を
見るだけで引き込まれる。
・路上の水たまり、壊れかけた階段、投げ捨てられたタバコの吸い殻、
木葉を咥える雀等々、直ぐに尋常な映画ではないことに気付く。
・やがて男女二人が出合う場面になるが、足下しか写さない。
・多くの場面は構図が固定され、カメラの振りやズーム操作は少ない。
中景の小動物や遠景の人や車は、計算されたように動く。
花・新緑の芽生え・堂々とした樹木等の映像は殊の外美しい。
・全体に台詞は少なく、動きの少ない画面を凝視することになる。
それが150分続くので、人によっては途中で投げ出すかも知れない。
・音楽は古典から民族音楽まで違和感なく奏でられる。選曲は秀逸。
・ロシアのタルコフスキー監督やトルコのカプランオール監督の映画に
興味がある人なら、この作品が同じ傾向であることに気付く。
只管、芸術としての映画の可能性を追求した作品に思われる。
そうした見方をすれば150分は長くない。
・それにしてもジョージアは凄い。映画の王国であることに異論を挟む余地はない。
「とうもろこしの島」「聖なる泉の少女」「みかんの丘」「放浪の画家 ピロスマニ」等々。