あれこれテストする XXXII


あけましておめでとうございます。本年もまたよろしくお願いいたします。

さて、今年の 「PC始め」 は何を取り上げるか。昨年は廉価CPU + 廉価M/Bだった。
同じ方針では面白くないのであれこれ思案していたら、ASUS R.O.G Seriesの出物が見つかった。 よし、今年は出物部品で始めよう。 (2015/1/3)

ASUS MAXIMUS VI IMPACT (2015.1.3)

新春初PCの構成は、
 【M/B】 ASUS MAXIMUS VI IMPACT (2015.1.2 購入価格 \14,980)
 【CPU Cooler】 Noctua NH-D15 (2014.10.16 購入価格 \10,540)
 【VGA】 Sapphire R7 265 (2014.9.3 購入価格 \14,214)
何れもお買い得価格と言えよう。そして、
 【CPU】 i5 4690K
 【SSD】 Samsung 840 EVO 120GB
 【PSU】 SilverStone SST-SX500-LG
を加え、自分としては十分Gradeの高い組合せとなった。

MAXIMUS VI IMPACTの BIOS Version が判らず、初期のHaswellである i7 4770T を挿し、Video Cardなしで Windows 8.1 Enterprise 評価版 を入れた。Installに問題はなかったが、その後のUpdateがたいへん。
 Update 1回目 : 912MB 所要時間 30分
 Update 2回目 : 836MB 所要時間 20分
 Update 3回目 : 296MB 所要時間 8分
i7 4770Tで凡そ1時間、低速CPUなら倍以上かかったであろう。

次に Devil's Canyon 対応の最新BIOS 1603にUpdateした。
次に CPUを i5 4690K に差し替えた。
次に Intel Driver Update Utility 2.0を入れ、Graphics Driverを 15.36.7.64.3960 にUpdateした。そして常用Softである Classic Shell 4.1.0 / CCleaner v5.01 / AIDA64 v5.00 / HWiNFO64 v4.48 / Hidemaru 8.42 / PowerDVD10BD 5509.52 を入れた。何れも問題なし。
Noctua NH-D15 (2015.1.4)

R.O.G.仕様のM/BならOCを前提に考えたい。並みのMini-ITX M/BではTDP値が制限されOCに不向きな場合がある。その点 ASUS MAXIMUS VI IMPACT なら安心してOCできるであろう。そうなると、強力なCPU Coolerを選びたい。幸い、X99用に確保してあった特価品の"Noctua NH-D15"が遊んでいる。これは150mm Fan 2丁仕様の大型Coolerであり、Mini-ITX M/Bに載るかどうか心配されるが、ものは試しである。

Noctua NH-D15 はどうにか収まった。
M/BがCPU Coolerの付属品のよう。
Noctua NH-D15 の左側面。
拡張Cardの取付に問題はない。
150mm Fanは凡そ15mm前方にはみ出る。
Noctua NH-D15のHeat pipe 6本の内、最も後方にある1本(左の写真右側)が、M/Bの電源 Cardと微かに接触する。入念に調べた結果、薄紙1枚程度なので良とした(下の写真黄色枠内)また、Backpleteの取付に問題はなかった。

NoctuaのCoolerはSettingが楽だ。固定用の螺子類は常に適正な締付量が得られ、減速抵抗入りFan Cableと二股分岐Cableが付属し、回転数の微調節も簡単である。

それにしても NH-D15 は巨大・・・
SilverStone SST-SX500-LG (2015.1.6)

一般的なSFX電源の寸法は W125 x H63.5 x D100mm、内蔵されるFanは 80x20mm または80x15mm。ATX電源(W150 x H86 x D160mm)に較べて一回り小振りで小型のPC-Case向きながら、Fanの制約から静かな製品は少なく満足度は低かった。自分の場合、内蔵Fanを交換することによって凌いできたが、保証対象外になる改造は避けるに越したことはない。

昨年末、SilverStone SST-SX500-LGが発売された。
   寸法は W125 x H63.5 x D130mm
多くのSFX電源に較べて奥行は30mm長い。120mm Fanが仕込まれ、SilverStone社はこの規格を "SFX-L" と称してしる。 そして 80 PLUS Gold仕様。価格は \15,120 と上質なATX電源並み。さてどうするか。

12月28日に届いた品物を1月3日に開けた。Cable類はPlug-in式でFlat仕様。少し硬めだが許容範囲内。 昨年、Thermaltake Core V1に使った 同寸の"Scythe 鎌力Gold SFX PLUG-IN 500W"に比べて作りも見栄えも良い。先ず、以下の組合せで試した。

【M/B】 ASUS B75M-Plus
【CPU】 i5 3450S
【MEM】 DDR3 1600 4GBx2
【CPU Cooler】 Thermaltake NiC L31
【CPU Cooler Fan】 Be quiet PWM 120mm
【VGA】 Sapphire R7 265
【SSD】 Samsung 840 EVO 120GB
【OS】 Windows Technical Preview 9879
【Case】 左の通り

消費電力は
【OCCT4.4.1 PS】 Max 122W
【FFXIV 1920x1080 最高品質】 Max 156W
【Idle時】 30W

SST-SX500-LGは電源内部の温度が41℃に達するとファンは回り始める仕様なので、低負荷時でも回ることはあるが、他のSFX電源とは比べ物にならないくらい静か。然しながら、FFXIV実行時消費電力 Max 156Wでは、500W電源の真価は測れない。そうかと言って High-SpecなVideo Cardの持ち合わせはない。そこで、ASUS MAXIMUS VI IMPACT + i5 4690K でOCすることにした次第である。

R7 265 Noctua Version (2015.1.8)

我家で使用するVideo Cardは総てVGA Coolerを改造している。Original状態で使用するのは購入直後だけ。理由は一つ、どれもこれも我家のNoise基準値に満たないからである。それでも最近は質が向上し、Cooler部分をそっくり交換するのではなく、Fanの挿げ替えで済ませている。GTX650 / HD7750 / HD7850 / HD7730 / R7 250 等々。
では、Sapphire R7 265 はどうだろうか。Original状態では、
 ・低負荷時は比較的静かだが、耳を寄せるとざわついたNoiseが気になる。
 ・負荷の上昇とともにNoiseは増し、Fan回転数30%辺りから煩く感じられる。
 ・FFXIV Bench実行時はかなり盛大なNoiseとなる。
従って、今回もまたFanを交換することにした。

Sapphire R7 265 の作りは同社のHD7850に近く、能力的にも同程度と考えられる。 ならば、FanをNoctua NF-A9x14 PWM x2 に交換してみよう。

Sapphire R7 265 のFanを外し、黄色丸枠部分にSpacerを立てた。できれば4個所に立てたいが適当な穴がない。
Noctua NF-A9x14 PWMを2丁連結し、固定金具を取り付けた。金具は2mm厚のAlumi材から切り出し埋込Nutを仕込んだ。
出来上がった R7 265 Noctua Version
下はSapphire R7 265から外した2連Fan。
i5 4690K OC 46 (2015.1.9)

ASUS MAXIMUS VI IMPACTは、BIOS中のOC設定項目が多く、Manualをよく読まないと細部の仕様は判りにくいが、取り敢えず 「CPU Level up」 を開けば、CPU Ratio Limited値は簡単に変更できる。では、All Core 46 で試してみよう。Windowsの起動は問題なし。結果は以下の通りである。

ASUS MAXIMUS VI IMPACT + i5 4690K  (2015.1.9)
M/B
ASUS MAXIMUS VI IMPACT
(BIOS 1603)
CPU
i5 4690K
Over Clock
Setting
Over Clock
-
Over Clock
1Core Ratio Limit
39
46
2Core Ratio Limit
3Core Ratio Limit
4Core Ratio Limit
CPU Cooler
Noctua NH-D15
VGA
Sapphire R7 265
+ Noctua NF-A9x14 PWM x2
(Driver Catalyst omega 14.12)
MEM
DDR3-1866 4GBx2
SSD
SAMSUNG 840 EVO 120GB
PSU
SilverStone SST-SX500-LG
OS
Win 8.1Pro 64
3DMark06
Score
29259
34710
SM2
12332
14552
SM3
14785
16257
CPU
6593
8905
3DMark
Vantage
Score
21967
23811
GPU
22976
23058
CPU
19412
26399
FFXIV
1920x1080 High
Full Screen
7950
7988
Cinebench 11.5
CPU
5.68 pts
7.19 pts
OpenGL
106.14 fps
121.94fps
Superπ
104 million
9 sec.
7 sec.
Power
Consumption
OCCT4.4.1PS 20min.
Max. 147W
Max. 210W
Prime95 20min.
Max. 125W
Max. 186W
Idle
28W
35W
CPU
Temperature
OCCT4.4.1 PS 20min.
Max 56℃
Max 78℃
Prime95 20min.
Max 55℃
Max 79℃
Idle
29℃
30℃
CPU Fan
Rotation speed
OCCT4.4.1 PS 20min.
Max 730rpm
Max 990rpm
Prime95 20min.
Max 730rpm
Max 990rpm
Idle
450rpm
490rpm
VGA Fan
Rotation speed
OCCT4.4.1 PS 20min.
Max 1240rpm
Max 1430rpm
Prime95 20min.
Max 1220rpm
Max 1420rpm
Idle
1030rpm
1060rpm
Room Temperature 22℃
NoctuaのFanが勢揃い。
Caseに入れて隠したくない。
Sapphire R7 265の基板にSpacerを立て、Noctua NF-A9x14 PWMを取り付けた。
NF-A9x14 PWMの回転数を微調節するため、200Ωの卷線型可変抵抗器を挿入した。

  上の表については次回に・・・
Fan Noise (2015.1.11)

前節の表を総合的に判断すれば、OCの効果は十分に認められる。
  Core Ratio Limit値を39から46に18%上げた時、
  CPUのPerformanceは 26~35%増、消費電力の増加は43%。
これは上々の結果と言えよう。

CPU温度やCPU Cooler Fanの回転数にはまだ余裕があり、更なるOCも可能に思われる。GPUに関しても同様であり、Noctua NF-A9x14 PWM x2の冷却能力は、R7 265よりSpecの高いVideo Cardにも対応できるものと考えられる。 然しながら、別の制約がある。i5 4690KをOCした上で、尚且つSilent-PC目差すとすれば、Fan Noiseに目を向けなければならない。

多くのFanは回転数の上昇に伴いNoiseは増す。当たり前の話である。ところが、Fanの回転数とNoise Levelが比例関係にあるかどうかは個々のFanによって異なる。Noctua Fanの場合、低回転域から中回転域までは比較的静かでNoiseの耳当たりも良く、他社のFanとは一線を画するが、ある回転数を超えると一気に煩くなる。つまり、Fanの回転数とNoiseの不快感は指数関数的に増加すると言えよう。今回用いた Noctua NH-D15付属のFan NF-A15 PWMは、800rpm辺りからNoiseが気になり出し、1000rpmを超えると途端に煩く感じられる。R7 265に用いたNF-A9x14 PWMは、1400rpmまでは我慢できても1500rpmを超えると俄に騒々しくなる。従って、Silent PCを目差すなら、
 ・NF-A15 PWM は全回転1200rpmのところを900rpm以下
 ・NF-A9x14 PWMは全回転2000rpmのところを1400rpm以下
で使いたい。

そうなるとCore Ratio Limit値 46は、既にそのNoise限界ぎりぎりであり、更にOCするかどうかはCaseの排熱能力と遮音効果次第となる。従って、このままの状態で暫く様子を見ながら、200頁を超えるASUS MAXIMUS VI IMPACTのManualを精読することになろう。


尚、ASUS MAXIMUS VI IMPACT + i5 4690KのOC動作が極めて安定していることから、前節の計測前にWin 8.1 Enterprise評価版をWin 8.1 Pro 64に入れ替え、Test機ではなく運用機を目差すことにした。Win 8.1 Proの新規Installは久し振りなので最新版を探したところ、最近のWindows Updateを反映した
  2014/12/16付のISO File "ja_windows_8.1_with_update_x64_dvd_6051490.iso"
を得ることができた。 Test機にWin 8.1 Enterprise評価版を入れた時は、Updateに 1時間程要したが、最新版では10数分で完了した。 自分でUpdate Fileを取り込んだInstall用ISOを作れば済むことではあるが・・・


 PCG3